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嵐の前後 8
でも元凶だなんて、一言で決められる問題ではないだろうに。確かに二耀族は海の向こうから来た余所者だ。が、長くこの土地で暮らしていることに変わりはない。
同胞だと呼べるぐらいの時間を、ヘレネス族と過ごしている。
それでも対立図が生じたのは、単に敵として必要だったからだろう。外様だろうが何だろうが関係ない。敵という単語が、偶然にも自分たちへ当てはまった。
あえて元凶を指定するのなら、敵を求める意思だろう。
ナギトはそれを嫌悪しようとは思わない。人間、誰だって敵はいる。どんな聖人君主や聖人だろうと、あまねく不幸を敵視しているのは間違いないのだ。
「――これからどうしましょうか? 僕としては、さっさと解決したいんですが」
とはいえ仲直りなんて、好都合な結末を求める気はなかった。
どちらかが勝ち、どちらかが負ければいい。
彼らにとって誇らしい敵なら、むしろ火に油を注ぐぐらいはしてやろう――
妹が席につくのを見ながら、歪な理論を膨らませていく。




