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嵐の前後 7

「市長殿も苦労するな。市民と魔術工房の衝突を避けるためとはいえ。……帝国兵を逃がすだけでも、市民はどう思うか」


「仕方ないよ。工房にとっちゃ、帝国は取引相手の一つだし」


 全面的な対立はしたくない。これは紛れもなく、彼らの本音だった。

 といっても、今の帝国にどこまで通用するかは分からない。今はアギニ家の時代ではなく、エウリュク家の治世なのだから。


「こっちだ、急ぎな!」


 何の変哲もない一軒家。市長から渡された鍵を回して、突き破るように彼女は入っていく。ナギトとリオも急いでその後に続いた。

 適度に使用していたのか、中は整理整頓が行き届いている。もとい、余計な物がほとんどない。

 ナギトは椅子に、イピネゲイアは部屋の奥にある階段を上っていく。帝国兵を寝かせるベッドを探してるんだろう。

 運良く見つけたようで、戻ってきた彼女の背中はカラだった。


「しっかし、面倒なことに巻き込まれたねえ。時期が悪かったのか?」


「……工房と市民の対立を言ってるんだったら、的外れですよ。面倒事のない世の中なんて、そっちが珍しい」


「おっ、手厳しい意見だね。元凶の同族が言うと重みが違う」


「――」


 リオだけが、批難がましい視線を向けていた。

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