嵐の前後 6
見つかるな、と市長から下された厳命はきちんと守れていた。今のところは追手もいないし、比較的順調な旅路である。
「しっかし、この町も物騒になったもんだね」
一人の大人を背負うイピネゲイアは、少しも呼吸を乱しちゃいない。
護衛として付いてきたリオも、体力には余裕がありそうだ。根を上げそうなのはナギト一人。魔眼大盾の一撃はまだまだ癒えていない。
「す、少し休憩を……」
「何言ってんだい、急ぐよ! ボウズは男だろ? 気合でどうにかしな!」
「んな無茶な――」
イピネゲイアは聞く耳持たず、先陣を突っ走る。
手を貸してくれるのはリオだけだ。いっそおぶって欲しい気分だが、妹にされるんじゃ情けなさすぎる。
「珍しいな、兄様が泣き言とは」
「さすがに状況が状況なもんで……はあ、少しは遠慮してほしいよ。白昼堂々、病院を襲撃しようとするなんてさ」
それが市長の持ってきた理由だった。
極一部の過激な市民が、入院している帝国兵を殺そうとしている――文字通り、寝耳に水をぶち込まれた気分だった。ナギトもオマケに狙っているというのだから、始末が悪い。
もっとも、相手は市民だ。狙われているのは怪我人なんだし、逃げるなんて真似をする必要はないようにも思う。
水面下で起こっている対立が、なければの話だが




