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第十話 嵐の前後1
「魔術を伝えたのは二耀族だから、マナ石とかで魔術製品を作ってる工房は二耀人が多い。だからテストミアも、二つが対立することになるわけさ」
「なるほど……」
「ちなみに帝国だと、皇家に二耀族の血が入ってるらしいよ」
かなり薄まっているそうだから、容姿にまで特徴は出ていないそうだ。ナギトも以前、先代皇帝から聞いてやっと気付いたぐらい。
お陰で二国の分裂には、ちょっとした共通点が生れている。――帝国が兵を連れてきたのは、その情勢が関わっているのかもしれない。
リオは何度か頷いた後。おもむろに席を立つ。
「ちょっと外の空気を吸ってくる。病院の入口にいるから、何かあったら呼んでくれ」
「……分かった」
顔そのものは前を向いているけれど、少し疲れた表情で。リオは廊下の向こうへと消えていく。
残されたイピネゲイアは、ギリギリまで彼女の背中を追っていた。
「どうかしたのかい? 考え事がありそうな顔だったけど」




