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過去からの疼き 7
「そこで、兄様も参加したわけだな?」
「うん。向こうはドラゴンも引き連れててさ、まあ大変だったよ」
同伴した仲間たちも、多くが戦死した。
ナギトが生き残れたのは、神による加護、つまり雷帝真槍を得ていたのが大きい。出陣する前、先代皇帝の手引きで入手した代物だ。
「予選は無事に終わってんだけどね。現地民であるヘレネス族の不満は、どうしても残った。前回の優勝者は二耀族だったしね」
「むむ、面倒だな。優勝は大変な名誉だろう? ましてや闘技大会はもともと、神にささげる儀式なわけだし……」
「でしょ? 神殿を壊したのはあくまでも一部なんだし、少しは大人の対応をしてほしいんだけど、さ」
言葉だけで感情が制御されるなら、国同士の衝突なんて起らない。
そもそも神々への信仰は、人々にとって何よりも尊いものだ。
それが破壊された。生活に深く根を降ろしている分、掘り起こされる憎悪も深くなる。




