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過去からの疼き 4
「あの国はもう終わりだ。親父はアタシだけでも逃がそうってしてくれたけど、他の連中はそうもいかない。近いうちに内乱でも起こるんじゃないかね?」
「ま、またやるんですか?」
「当然だろ。今度は貴族と市民、皇家と帝国軍に分かれての戦いさ。……こっちだって同じような流れがあるの、知らないかい?」
「え」
内乱の気配が、ということか?
触れて欲しくない話題だったのか、入口を見張っている兵が三人を覗く。が、イピネゲイアは気にした風もない。むしろこっちに来るよう、手招きしている。
しかし兵は視線を戻し、職務に没頭することを選んだ。
「なんだい、面白くないねえ。――まあ話を続けると、工房の人間と市民の間でね。ちょっといざこざが起こってんのさ。アンタが寝てるあいだに、真っ向からぶつかったって話も聞くよ?」
「? ぼ、僕、数日寝てたんですか?」
「まあ二日ぐらいかねえ」
「ふ、二日!?」
驚愕の現実に、ついつい大きな声を出してしまう。
また覗き込んでくる見張りだが、特に文句を言ってくる様子はなかった。口の前に指を立てて、静かにしろ、のジェスチャーをするだけで。




