過去からの疼き 3
もっとも、反対がゼロだったとは思えない。ナギトは帝国育ちの人間だ。テストミアで暮らして三年になるが、最初の一年は色々と偏見を受けたのを覚えている。
純粋に喜べないのは、器が狭いからだろうか?
そもそも。
「……あれ? この場合って、アルクノメを助けるのは――」
「ああ、そっちは駄目だったよ。予選が終わるまで、議会の承認なしにテストミアから出るのは禁止だとさ」
「――」
やはりか。
彼らの目的は出場者の確保、つまり宣伝活動の一環だ。敵国の罪人を救うための慈善行為じゃない。
どうするべきか。
救出の際に協力してくれたクリティアスは、見ての通り敵になった。イピネゲイアも堂々と彼の前に割り込んだし、皇女としての帰還は望めない。あの男には帝国貴族という強力な味方もいる。
ほぼ孤立した状態。テストミアを敵に回すのは結構だが、逃げ場を失うのも困りものだ。
「ま、後で市長さんのところに行ってみな。相談ぐらいには乗るって言ってたよ」
「……分かりました。で、他にあります?」
「アンタについては無しかね。アタシは今後の協力について話し合いをしたけど、まだ決着してないし。いやあ、国を捨てるってのは大変だ」
「やっぱり、亡命を?」
頷きは即座に帰ってくる。誇らしく、自信に満ちた肯定だった。




