54/192
赤い獣牙 4
「おら、まだ駒があるんなら出しなよ。アンタだってのんびりしちゃいられないんだろう?」
「……確かに、面倒な連中を待たせているのは確かだ。この世で一番騒がしい連中をね」
「なら早く帰んな。アタシだって、そいつらが騒ぐのは見たくない」
「だろうな」
口端を釣り上げ、クリティアスはこれ以上なく皮肉を込めて笑った。
一匹のドラゴンが彼の近くに降り立つと、アルクノメを連れてそのまま乗り込む。周囲から聞こえていた帝国兵の声も、同じように離れはじめていた。
「アルクノメ……!」
巨大な翼が生み出す風を、ナギトたちは黙って見届けるしかない。
飛び立ったドラゴンは見る見るうちに小さくなった。侵略という喧騒も引き連れて、帝国領へと戻っていく。
残された三人はただ無言だ。遅れて現れたメルキュリクにも、視線を向けようとはしない。
「――弟が迷惑をかけたね。肉親として謝っておくよ」
「い、いえ、そんな……」
「ま、とりあえず傷を治しな。魔眼大盾の一撃を受けたんだろ? 無茶はしない方がいいし――」
一息空けて、イピネゲイアは校門を見る。




