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赤い獣牙 2
「本気でこの町を侵略するつもりか!? 皇帝陛下が黙ってはいないぞ!」
「――残念だが、この作戦は貴族たちの同意を得ている。彼一人が反対したところで、覆すことは出来ないな」
「クリティアス、貴様……!」
「冷静になりたまえ。私に構っていると、君の兄が死んでしまうぞ?」
満身創痍。今のナギトには、裏切った男へしがみ付くことも出来やしない。
一歩ずつ近づいてくる巨体を、憎悪と共に見上げるだけだ。
「兄様……!」
割り込もうとリオが走る。
だが、間に数頭のドラゴンが降ってきた。彼女は直ぐに純潔狩猟を放つも、甲殻を貫通するには至らない。虚しい音を立てて弾かれるだけだ。
ドラゴンたちは、もはや彼女に構うこともしなかった。
巨大な手で、死にかけの獲物を掴む。
「っ、く」
刃物のような牙の向こう。紅い、底なしの口が見える。
終わった。
「退きなっ! 馬鹿どもおおおぉぉぉ!!」
間に入ってきたのは、男以上に雄々しい女の一喝。




