魔竜咆哮 7
生徒たちは半ばパニックを起こしつつ、学校から一目散に逃げていく。校舎内にいる者たちも同じだった。必死に冷静さを保っている教職員が、彼らを安全な場所へ送り届けていく。
呼び掛けを無視するのは、ナギトとメルキュリクだけだ。
「ドラゴンは最強の生物として名高いですからね。相手にとって不足なし、ですか?」
「おいおい、止めてよ。僕が戦闘狂みたいじゃないか」
「私にはそう見えるのですが?」
なるほど、冗談は通じない。
ナギトの胸は高鳴っている。戦いを待ち望んでか、強大な敵と戦うことの恐怖心からか。
――正直、自分のことはあまり分からない。
敵を倒すのは戦士の責務であって、そういう風に育てられた自分には当り前の行動だからだ。
一方、与えられたモノを鵜呑みにするのは好きじゃない。否、好きになるべきではない。
ならこの高揚は、きっと。
最強を覆す、挑戦者としての鼓動だろう。
「ドラゴンが来れば、向こうにいた彼女たちも来るでしょう。私が連れていきますから、ご安心を」
「よろしく」
ついでにオレステスの腕も渡す。そこには参加者の資格である刻印が刻まれているのだ。今は使わずに済んだが、後で役に立つかもしれない。
消えていた轟音が止む。
瞬間。
「――!!」
衝撃のような咆哮が、ナギトの正面に君臨した。




