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魔竜咆哮 6
「ぐ、殿下……」
どうにかオレステスを離した直後、彼は穴の中に引きずり込まれた。
音がする。
檻から出せと抗議するような、低く重い轟音が。
「め、メルキュリク、これ――」
「アルクノメ様たちが戦っている結界内部からでしょう。……この空間をまとめて揺さ振るような感じ、間違いありません」
「……」
彼女たちは一対一で戦っている筈だ。しかし現在の状況は、乱入者がいる可能性を示している。
オレステスの腕を切り落した所為――ではあるまい。神の魔術は極めて強力だ。多少の介入はともかく、まとめて破壊されるような事態はありえない。
だが今、それが起ころうとしている。
「来ますよ、ドラゴンが」
刻一刻と明確になる打撃音。メルキュリクの告げた、ハルピュイアを軽く凌駕する怪物の名。




