魔竜咆哮 4
行動を決断したのは、ナギトの個人的な意思によるものだ。帝国から恨みを買うことは決定的だが、アルクノメの生死に代えられるものではない。
というか腕一本で済んだのだし、感謝してほしいぐらいだ。無防備に背を向けた瞬間、殺そうと思えば殺せたのだし。
「き、貴様、貴様っ! 会場都市でこんなことを……!」
「別に問題はないでしょう? あとで僕が町から出ればいいんだから。独断なんだし」
ともあれこれで、二人の元に介入できそうだ。
闘技大会への出場権は、肌に浮き出る痣のようなモノにある。オレステスの場合は、その手首に痣――参加刻印と呼ばれるソレついていた。
持ち主から切断したお陰で障害は出ているだろうが、一時的なものだ。
物理的に奪ったナギトを、近いうちに新しい持ち主とするだろう。
「こ、これが許されると思うのか!? ――お、おい、誰かコイツを殺せ! 次代皇帝の腕を切り落したコイツを!」
「……どうします?」
顔色一つ変えず問うた先には、戦意を失っている帝国兵が。
彼らは皇子の応急処置に当たっているが、それ以上の行動はしない。身構えている者もいるにはいるが、攻撃に移ろうとする気概は無いに等しかった。




