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皇帝の遺言 3

 それは物事の道理を無視した発火。――自分の感覚を疑いたくなるが、彼らがそういう手段を持っているのは知っている。文句を言う前に対処するしかない。


「こっち!」


 唖然あぜんとしている少女を引き、進行方向を変えながら走る。

 ただ驚くばかりでしかない彼女の反応には、少し心当たりがあった。炎の壁――魔術と呼ばれる神々の力は、自然が多い場所での発動を禁じられている。それも国家の法律として、だ。

 にも関わらず破られた。敵の気概についてはもちろん、国の形が変化したことも予感させる。

 確かにかの大国では、一年前に革命が起こった。結果として皇家の一員である彼女は処刑が決定し、ナギトに助けられて今に至る。


「どうして……」


 理解できない。力のない走りで、彼女は小さく呟いた。

 魔術のおきては絶対のモノとして認識されている。それは革命があっても変わるべき要素ではない。日ごろ口にしている言語が、たった一日で消えたりはしないように。

 だがさっきの魔術行使は、その有り得ない変化を代弁していた。


「……分かったろ、アルクノメ。君の知っている帝国はもう存在しない。あの革命に、どれだけの人が賛同したと思うのさ」


「――」


 アルクノメは返答しない。民を思って選んだ死が、無意味だったと知って気落ちしている。

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