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吼える愚者 6
ナギトを見るなり、更に兵たちの士気は低下していく。
反対にオレステスの不満は上昇する一方だ。眉間に皺を寄せ、こめかみに青筋を走らせてもいる。
「おいおい、調子にノってんじゃねえぞ。俺の横にいる女が誰か分かってんのか? あ?」
「僕の妹ですが、それが?」
「こいつは俺の代理で、俺の女だ。今のうちに頭下げとかねえと、喰い方を間違うかもしれねえなあ?」
「……」
それが、精一杯の脅しらしい。
分かっていれば可愛いものだ。ここからどんな罵倒を浴びせられても、聞き流せる自信だって湧いてくる。妹の方も何やら無反応だし。
オレステスに出来るのは舌打ちぐらいなもの。これなら大人しく帰ってくれるだろう。
「――やれ」
だが意外にも。
動いたのは、妹の方だった。




