吼える愚者 5
彼らは戸惑っている。かつて忠誠を誓った男の娘に、攻撃意思を奪われている。
オレステスに従っているのは、止むを得ず、なのだろう。
「にしても最高のお出迎えだな、こりゃ。俺が兵を連れてきただけだってのによお、こうもビビってくれんのか。毎日やりてぇ気分だぜ」
「テストミアは会場都市よ! 侵略は行わないのがルールでしょう!?」
「は、だから何だよ。そもそも、兵さえ入れちゃならねえ、ってルールはねえんだぜ? ……うちの国から馬鹿が一人亡命してたようだし、こりゃあ動くしかねえだろう?」
「っ……。じゃあ、私が――」
「待って!!」
余計な結論へ到達される前に、ナギトは二人の間に割って入る。手にはもちろん、相棒である雷帝真槍を握って。
「その槍……お前、ナギトってやつか。クリティアスが話してた」
「――はい。彼にはいつもお世話になってまして」
「そうかよ。で、こいつは何の真似だ?」
「見ての通りですが?」
「……」
退け、と言わんばかりに、オレステスはナギトを睨む。
しかし、そんな要求を飲む気は毛頭ない。オレステスは武人というわけでもないのだ。後ろの帝国兵が動かなければ、こちらに被害は及ばない。




