吼える愚者 3
「――? 校門の方、騒がしくありませんか?」
「誰か有名人でも来たんじゃない? この学校、有力者の子供とかも通うって――」
つられて覗いた窓の向こう。騒ぎの正体に、背筋が凍る。
帝国兵。
先頭に一組の少年少女を立たせて、武装した彼らがやってきている。
「ナギト様、アレは……」
「片方はアルクノメを追放した皇家の人だね。女の子の方は――」
「妹君では?」
「……」
口を横に結んだまま、ちょうど校門を潜った少女を見つめる。
彼女らの周りには大勢の人がやってきていた。生徒だけでなく、教職員も。誰一人落ち着いた様子じゃないのは、当り前の反応だろう。
集まった髪の色は様々だ。大国の境界にある町なだけのことはある。
しかし少数、白と黒の二色が合わさっている人がいた。
染めたのかと言われそうな、左右で白黒に分かれている妙な髪。が、列記とした天然である。
ナギトと妹のほか、全体としては少数派だが。
「……行こう、メルキュリク。同族どころか、身内が迷惑をかけてるみたいだし」
「ええ」
異常事態で騒ぎ始めた教室の中を、ナギトとメルキュリクは早足で抜けていく。
昇降口では、数名の教師が生徒たちの好奇心を抑えていた。――その善意は二人にも向かい出したので、全力で駆け抜けることにする。
「おら、全員頭を下げろ! アギニ家を打倒したエウリュク家の皇子、オレステスが来てやったぞ!」
心にある傲慢さを隠すことなく、愚者は高らかに吼えている。
そして。
「待ちなさい!」
帝国兵に立ちはだかる、アルクノメの姿があった。




