吼える愚者 2
土台が強固であればあるほど、強制力は強くなる。皇家の一員、なんてのは特に強力だろう。
破壊してやらない限り、彼女は帝国への――処刑への未練を断ち切れない。
私の帝国を滅ぼしてくれ。
育ての親でもある、先代皇帝の言葉が頭に浮ぶ。あれはどういう意味だったのか。娘を救うために滅ぼしてくれと、父親として言ったのか。
どれだけ考えても、確証はない。
だってその人の言葉は、その人だけのモノだ。
誰かの判断を理解し尽くすに権利など、人は誰一人持っていない。
「難しいね、人付き合いは」
「旧知の間柄でも、ですか?」
「そりゃあ勿論――ああいや、だから難しいのかな。参考になる情報も多いし」
「はは、私もありますよ、アレコレ考えてしまうこと。性格もあるんでしょうけどね」
「親子揃って面倒くさがりだ、って?」
「ええ」
しかしナギトの感覚では、彼をそういう風に見たことはない。
むしろ真面目なぐらいだ。それで面倒嫌いの性格だとしたら、世の人間はほとんどが該当するだろう。
あるいは。
人は誰しも面倒を嫌うという、メルキュリクなりの持論なのか。
「――? 校門の方、騒がしくありませんか?」




