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第四話 吼える愚者 1

「攻めてくる? 闘技大会の予選期間中に?」


「はい。もし実行に移せば周辺国との対立悪化はもちろん、国内に反感を産むものではあるんですが――」


 零れた溜め息が、事の信憑性を教えていた。

 しかしナギトは一言頷くだけ。……メルキュリクには同情するが、ペロネポス帝国の民族性なら侵略する可能性は低くない。革命が成功したことの勢いもある。

 無論、諦観するかどうかは別の話。


「攻撃的だからね、帝国人は。自分に与えられたものを過信して、意味を疑うこともしない」


「そうなんですよね……お陰で、こっちの話が通じないというか」


「……」


 脳裏を過ってしまうのは、やはりアルクノメのことだった。

 彼女も帝国人の気質はある。皇女であることを信じ、その責務をまっとうするべく奔走ほんそうしてきた。今だってきっと、そのことばかり考えているはず。

 だから危うい。

 生の目的を見定めていると言えば、人の耳には良く入るだろう。人生に迷っている者へは特にそう。

 しかし反対に、目的を定めた者は他の道で生きられない。

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