大国の噂 5
ナギトが通う学校は、テストミアの中央から南西へ外れた場所にあった。
方角の関係から、屋上に登れば帝国の領土を見渡すことが出来る。首都である帝都はもちろん。国境沿いにある砦も望める、テストミアでも有数のスポットだ。
アルクノメも評判は聞いていたんだろう。学校に到着すると、すぐ案内するよう言ってきた。
「――で、案内してきたわけですか」
「一人手の空いてた先生も一緒だけどね。……結構、未練はあるみたいだ」
「そりゃあそうでしょう。性格からして、ご自身と帝国を切り離して考えるのは無理です」
「メルキュリクもそう思う?」
ええ、と丁寧な口調で頷くのは、茶色い短髪の少年だった。
親に似て穏やかな雰囲気を持った彼も、ナギトにとっては幼馴染に当たる。アルクノメとも何度か顔を合わせた経歴の持ち主だ。
「しかし父上――テストミア市長は断ると思ったんですがね。あの人、面倒なのは嫌いですから」
言葉に苦笑を重ねるメルキュリク。こもっているのは嫌味ではなく、長年積み重ねた信頼と親子の情だった。
「本当、あの人には申し訳ないよ。この前だって、帝国と色々あったんだろ?」
「ええ。どうもオリンポス闘技大会に向けて、圧力をかけてくるらしくて。ほら、ここは不可侵の土地でしょう? 武力以外で抑えつけるため、色々とちょっかいを出してくるんですよ」
「会場都市、だよね? ここの別名」




