大国の噂 4
「駄目ったら駄目だよ。だいたい、テストミアで暮らすなら市長と話さなきゃ。……言いたくはないけど、帝国にとっては攻撃する材料にもなるし」
「でも私を連れてきたのは貴方でしょう? 私が彼と話をするのは、ちょっと筋違いじゃない? 意見交換はナギト一人でやるべきよ」
「む」
以外にも冷静な意見で、ナギトは反対する隙を失った。
さっき言った通り、テストミアで保護されることに彼女は関与していない。市長と話し合いをしてくれ、と一方的に頼むのは無責任というものだ。
せめてナギトが代役を買うか、アルクノメを説得しなければならない。
「取引よ。私を学校に行かせてくれれば、闘技大会のことは真面目に考えるわ」
「それは、良い方向に?」
「出来るだけね」
「……」
なら割り切るべきだろうか。学校の敷地内であれば、すぐ駆けつけることは可能だし。
少しあいだを挟んで、ナギトは首を縦に振る。
アルクノメは嬉しそうに手を握ってくるが、素直に喜ぶことは出来なかった。正直に言って、違和感が強い。昨夜の不機嫌はどこにいったのか、と。
何か企んでいるんだろう。学校で出来ることなんて、かなり制限される筈だが。
目的地への道も場所も分からない癖に、彼女はナギトの前を行く。
どことなく急ごうとしているのは、たぶん勘違いじゃないんだろう。




