大国の噂 3
人目を避けるため、二人は直ぐに路地へと踏み込んだ。少数の通行人とすれ違うものの、彼らは決まって急いでいる。アルクノメを一瞥することはあれ、直接声をかけたりはしない。
「――ちょ、ちょっと待って。どうしてアルクノメも一緒に来るのさ? 転入するわけじゃあるまいし」
「ええ。だから今回は、ただの見学。市長さんの秘書に頼んだら、さっくり許可してくれたわよ?」
「そんな……」
まるで納得がいかなかった。テストミアがどういう町から、アルクノメだって知っている筈だ。自分のことを軽率に扱っているとしか考えられない。
――いや、実際そうなんだろう。彼女がまだ、救出されたことに納得していなければ。
「しばらくはここで生活しなきゃいけないんでしょう? なら準備の一環として、学校の様子ぐらいは見ておきたいわ。貴方も近くにいるんだし、安全じゃない」
「いや、でも――」
「自信がないの?」
炊きつける意図があるのか、ナギトの顔を覗き込みながら彼女は言った。
小悪魔を思わせる挑発的な笑み。なんだか馬鹿にされているようで、少し頭にくる。無論、乗っちゃいけないのは分かっているが。




