大国の噂 2
数名のメイドに見送られ、屋敷の正門を通過する。
待っていたのは人々が行き交う中央広場だった。テストミアの心臓部とも呼べる、行政の施設が集まる場所である。
人手はいつもに増して多い。恐らく、議会の開催日なのだろう。万単位の市民が参加するお陰で、必然的に広間はごった返している。
まるで人間の壁だ。ナギトはただ一人、その光景に圧倒される。
「――遅かったわね」
「あ、アルクノメ!?」
「あら、どうしたの? 幽霊でも見たような顔をして」
「そ、そりゃあ驚くさ」
部屋から出たくないんじゃなかったのか。
しかし彼女はケロッとした顔で、ナギトの隣りに立っている。市長との交渉を持ち出した時とは大違いだ。
「って、人前に出てきちゃ駄目だよ。ただでさえ君は目立つんだし、その格好……」
「ええ、貴方の学校で使ってる制服よ。今朝のうちに用意してもらったんだけど、どう?」
見せつけるように、彼女はその場で回って見せる。
白一色の制服は、文句のつけようがないくらい似合っていた。気品を感じさせるアルクノメの美貌も、いい具合に相乗効果を生み出している。
腰まで伸びた美しい金髪、触れることをためらわせる白磁の肌。美女、という言葉をそのまま形にしたかのような少女だった。
お陰で彼女の存在に気付いた数名が、素直な好奇心を向けている。
「ほら、行くわよ。ボーっとしてたら遅刻するんじゃない?」
「え、ええ?」
混乱したままのナギトを、彼女は強引に連れていく。




