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第三話 大国の噂 1
結論から言うと。
「すみません、部屋から出たくないそうで……」
朝っぱらから、ナギトは頭を下げることになった。
市長は別に起こる様子もなく、やっぱりかあ、納得している。
「まあもう少し時間はあるから、ゆっくり話すとするかねえ。ああでも、身の振る舞いには注意してくれよ? こっちの人たち、そこまで帝国に好意的ってわけじゃないし」
「了解です。……それであの、僕が学校に行ってる間ですけど――」
「ああ、面倒はきちんと見るよ。それとも、君の寮に住んでもらうかい? 護衛だってしやすいだろうし」
「でも人目につきますし……まあ、一応あとで聞いてみます」
いつまでも彼に迷惑をかけるわけにはいかない。まあこの町で暮らす以上、どこかで割り切る必要もあるのだが。
廊下での報告を終え、ナギトは駆け足で屋敷の出入り口へと急いでいく。
今日は至って普通の日だ。十八歳であるナギトには、当然ながら学校がある。お姫様の護衛を理由に休みたい気分だけど、存在を隠す意味も含めて行くしかない。




