堅い床の上で 3
二人が話している後ろ。部屋に一つだけ置かれたベッドの上で、いつの間にかアルクノメは背を向けて眠っている。一言も話してなるものか、と鋼の意思を感じさせる背中だった。
「……こうしてみると、反抗期の娘とその父親みたいだねえ」
「僕、ただの幼馴染ですよ」
「でも君、性格的には彼女のお守でもあるだろ? 昔から振り回されてきたって聞くよ?」
「あー、そうですね。昔っから正義感《《だけ》》は強かったもんで」
途端、その当人から突き刺さるような視線が来る。……もう夜遅いんだから早く寝なさい。
しかし、面と向かって言えた空気でもなく。言葉には注意しようと肝に命じて、テストミア市長の方へと向き直る。
「で、市長。彼女を受け入れるのは条件がある、って話でしたけど」
「ああ、うん。……もう始まってるんだけどさ、オリンポス闘技大会、知ってるよね? 各地の優秀な戦士が集まって、武術を競い合うやつなんだけど」
「もちろん知ってますよ。四年に一度のお祭りですからね」
「そう。優勝は当然として、出場するだけでも結構な名誉だ。テストミアみたいな商業都市にとっては、都市の名前が売れるだけでも儲けだしね」
「……そういう話をするということは、僕らに出ろと?」
「うん」
即答だった。




