123/192
目覚めと予兆 6
「……時間的には午後だけど、寝て起きたばっかりだからね。おはよう、でいいんじゃないかな?」
「そう……じゃ、おはよう、ナギト」
言われて、同じ台詞を送り返した。
なんだかホッとした様子の彼女に、ナギトは改めて医者を呼んでくると告げる。頷きは無言で一度だけ。胸に不安を蓄えているのが分かる、力のない首肯だった。
妹たちが待っている部屋に向かう途中、多数の人とすれ違う。
だが、医者らしき人物は一人もいなかった。ほとんどが工房の職人で、外の結晶生物について話している。
やはり責任者に尋ねるのが早そうだ。目的の部屋へ、ナギトは駆け足で戻っていく。
「――工房長さん、避難者の中にお医者さんっていますか?」
「あ?」
開口一番の問い掛けに、工房長は腕を組む。
「そういや、一人か二人いた気がするな。あのお嬢ちゃんのとこに向かわせりゃいいのか?」
「はい。彼女、少し具合が悪いみたいで」
「よぉし分かった」
椅子を蹴るような勢いで立つと、彼は大股で部屋を後にする。
残されたナギトは、前と同じようにリオの隣りへ座った。妹の顔付きは曇っているものの、それを気にする性格はしていない。
「意識が戻ったのか? 皇女様は」




