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目覚めと予兆 5
「あ、ごめん、起こしちゃった?」
「ナギト――?」
二言目には、困惑が浮ぶ。
理由をきっちり説明したいところだが、迷いがあった。ドラゴンから出てきたよ、なんてさすがに正気を疑われる。まあついさっき妹に疑われたが。
「ちょ、ちょっと貴方、まさかまた忍び込んできたんじゃ……」
「違うよ、忍び込んできたのは君の方。ここ、テストミアにある魔術製品の工房だよ」
「て、テストミア? 私、さっきまで国境の砦にいたんだけど……」
「ここに来るまでのことは、覚えてない?」
逡巡したあと、彼女は首を横に振る。
とにかく医者だ。クリティアスが細工を仕込んでいるかもしれないし、念には念を入れた方がいい。
「ちょっと待ってて。いま人を呼んで来るから」
「う、うん……って、ナギト」
「? なに?」
「今は、おはよう、でいいの?」
熱で赤くなった顔を、もう少し赤くしながら。アルクノメは、よく分からないことを尋ねてくる。




