目覚めと予兆 3
しかし、気掛かりなことがいくつかある。
結晶生物がマナによって生まれた生き物とはいえ、彼らはあくまでも生き物だ。種を超えて協力する光景はまず見られない。
にも関わらず、確認できる範囲ではドラゴン、ミノタウロス、ハルピュイアが共同戦線を張っていた。
神殿内に結晶生物がいたことも含め、引っ掛かる。
何か一つの意思が、二耀族を攻撃しているのではないかと。
「……何なんですかね、僕らとヘレネス族って」
「おいおいどうしたんじゃ坊主。同情か?」
「いや、そういうつもりじゃないですよ。ただちょっと、妙なものを見たもんで」
「妙なもの?」
工房長が首を傾げる傍ら、ナギトは周囲の人影を確認する。外敵への対処に忙しいのか、もうすれ違う職人はいなくなっていた。
彼に向かって話していいのかどうかも分からないが、冷静に受け止めてくれると信じよう。
「神殿の地下に、二耀族の……共同墓地、ですかね? 棺桶みたいなものが、ドーム状の空間一面に埋まってたんです。結晶生物と一緒に」
「な、なんじゃそりゃ? 神殿ってのは、摩訶不思議な場所なのか?」
「どうでしょう……各地にあるんでしたら、前回の予選の原因ではあるかもしれませんが」
「……もし正解だとしたら、気分が悪いってもんじゃな。神殿を破壊した側に、義があったということになる」
不快感を露わにして、工房長はそう言った。




