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豹変の地 2

 衝突していた連中がいなくなった、だけじゃない。メルキュリクを含め、人っ子一人いなくなっている。

 ――地下からこっち、どうして妙な光景が連続するのか。せめて一人ぐらい残っていてもいいだろうに。

 ナギトは自然と鋭利な眼差しになって、神殿の入口から辺りを俯瞰している。

 反対にリオは、破壊された像がある広場へと降りていた。警戒心の欠片もない。苛立たしそうに、腰へ手を当てて左右を見渡している。


「まったく、何なん――」


 だ、と声が結ばれることはなかった。

 ナギトの背後、一頭のミノタウロスが現れている。

 兄妹はそれぞれの得物を手に、迎撃の準備を整えた。時間にして数秒もない。息の取れた連携で、鎧袖一触とばかりに討ち倒す。

 はずだった。


「え――」


 ナギトの手にある雷帝真槍ケラウノスは、半人半牛の胸を貫いている。

 だが死んでいない。身動き自体は止まっているが、敵意に満ちた眼光は活きている。


 刹那。

 閃光と共に、ミノタウロスが変化する。牛の形など、少しも残さない怪物へと。

 ドラゴンだった。

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