封土の同族 6
「尊敬と責任は同じだと、そういうことか?」
「かもしれない。だってさ、相手を認めてるから尊敬するんでしょ? なら衝突しようと、悲劇的結末があろうと、その人の決断に口を挟むのはよくないと思う」
「……だからって、戦う必要はなかったろうに」
「あはは、耳が痛いね」
他の選択肢は、確かにあったのかもしれない。
だが当時、ペロネポス帝国は両親と敵対する立場にあった。アルクノメを意識していたナギトにとって、おいそれとは敵に回せない。
彼女という世界を守った結果、両親という世界は壊れた。
善悪の基準に照らした時、どちらが正しいのかは知らないし、興味もない。だから自分で肯定する。間接的に両親を殺したのは、超越しようとする意思があったからだと。
なので正直、今でも思う。
自分は何かの理由をつけて、今を正当化したいだけではないのか?
他人の意見を変えることに、責任を負いたくないだけではないのか?
「……兄様は変な人だな」
「えっと、褒めてる? 貶してる?」
「さあ」
どっちだろうな、と最後に付け加えて、彼女は兄を追い越した。
ナギトも直ぐにその背中を追う。ドームをもう少し調べたい気持ちはあったが、外への対処も忘れてはならないことだ。長居すれば、更なる疑惑を持たれるかもしれないし。
だが、地下を出る直前。
壁の人々に――どこかで知った顔を、見た気がした。




