第二話 堅い床の上で 1
二人が町についたのは、当然ながら真夜中。
出入り口に当たる城門は堅く閉ざされていた。――が、あらかじめ話は通してある。名前を告げると、眠たそうな兵士が門を開けてくれた。
中に入って、二人が案内されたのは町の中央。街灯の明りに照らされる、大きな屋敷へと招かれる。
「……」
帝国領ではまず見ないためか、アルクノメは屋敷の正門を潜っても街灯を気にしていた。ランプかしら? と独り言も漏らしている。
しかし、あの光は火によるものではない。中にある小さな《《石》》が、発展した魔術の成果として辺りを照らしている。
彼女もそれに勘付いているんだろう。帝国ではその石を武器にしか使用しないため、珍しがっているわけだ。
「……あの光、マナ?」
屋敷の廊下を案内されながら、アルクノメはナギトに尋ねた。
「そ、森とか山で採れるマナ石を使ってる。帝国じゃあんまり見ないけど、ここは有名な工房が沢山あるからね。そこらじゅうで見られるよ」
「……うちでも作ればいいのに。どうしてやらないのかしら? 宮殿でも見ないわよ?」
「うーん、マナは作れないし、採取する数も限界があるからね。照明に使うぐらいなら武器に、って感覚なんじゃないかな?」
「まあ、ありそうね」
納得する彼女だが、その表情は複雑の一言。自分の国が戦争を最優先していることに、少しの恥を感じているんだろう。少なくとも、ナギトにはそう読みとれた。




