第十六話 封土の同族 1
「この人たちは……?」
「さあね。神官や巫子じゃないみたいだが……あ、別にアタシらは何もやってないよ? むしろこっちが助けようとしたぐらいでね」
「結果は?」
「見りゃあ分かんだろ? 声をかけても反応しないし、動かそうとしても岩みたいに重くてね。まったく、頑固になるのは民族問題だけにして欲しいもんだが」
そっちだって御免だけどね、と一言足し、部屋の前から去るイピネゲイア。残って観察を続けるナギトだが、やはり彼らは動かなかった。
見切りをつけ、向かった先には地下へと通じていそうな階段。辺りにはミノタウロスの亡骸が多く残っていた。
階段に、照明らしきものは何もない。
外から差し込んでいる明りは、奥へ進む度に弱くなっていく。
薄暗い地下の世界。未知へ飛び込もうとしているナギトたちを威嚇するような、冷たい闇が肌を撫でる。
「……なあ兄様、神殿はどれも地下室があるのか?」
「さ、さあ? 僕は神殿入るの、今回が初めてだよ」
「む、そうか。――イピネゲイア様は?」
「アタシも初めてだったよ」
リオは続けて問いを放っていくが、まともな返答は返ってこない。二耀族という生き物が、ヘレネス族の信仰に興味がない証左である。
お陰で、この先にある何かへの興味は膨らむばかりだ。




