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歴史の中へ 4

 しかしナギトの方も、彼に譲歩することは出来ない。彼の証言通りなら、非はヘレネス族にある。どう考えたってこちらが労を背負うのは間違いだ。

 メルキュリクに反応はない。

 妙案を考えているのか、ナギトが頷くのを待っているのか。

 どちらにせよ時間の浪費だった。こうしている間にもし、人質が殺されたら問題は更に深刻化する。テストミアの分断を決定付けもするだろう。


「分かった、僕が行くよ」


「ほ、本当ですか!?」


「ただし一人で。単独の方が何かと楽だしさ」


「了解しました。……人質のこと、宜しくお願いします」


 深々と頭を下げるメルキュリク。――周囲の者たちは、誰一人、それを追従しようとしない。

 いい加減一言いってやりたくなるが、最終的に苦労するのは他ならぬ友人だ。彼と縁を切るわけでもなし、ここは堪えることにしよう。

 視界の奥にある神殿の入口は、完全に静まりかえっている。中に人がいるかどうかも怪しい。

 ナギトは少し露骨な溜め息を零して、神像の先にある階段を踏んだ。


「まったくれ兄様! 私も行く!」


「は!?」


 承諾も待たず、リオは隣りに並んできた。

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