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職業勇者制度が成立して100年経ったので識者の俺が解説してみる。  作者: コムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ
勇者の特権
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医療保障制度

 医療制度においても勇者は様々な恩恵を受けることができる。もっとも魔法使いの存在が医療行為の代替になっていると思いがちであるが、あくまであれは一時的な回復作用であって根本的な負傷の快気には至っていない。正しく解釈するなら、気力の分配という表現が正しく、主に精神面でのケアによる自己暗示や思い込みによる気力の回復が回復魔法とされているのだ。

 

 そのため、勇者は骨折などの身体的負傷を負いやすく、冒険を終えるとしばらくは入院という流れが一般的である。その医療行為の機会の多さは原則として、勇者の自己負担額が1割にとどまっているという医療保障制度の確立がその背景にある。我々平民は企業保険や自治体特権を受けない限り、医療保障制度は適応されず、全額負担が原則であるが、勇者は1割のみの負担で済むため、気軽に病院に掛かることができる。やはり、医療行為機会の多さでが制度確立の要因であり、これにより恩恵を受けるものが多い。また戦闘不能状態の治療などは医師側も点数を大幅に稼ぐことができるため、積極的な受け入れも行われているのだ。中では勇者専門に請け負う医療機関も存在し、緊急時には現場まで駆けつけてくれるというサービスも取っている。勇者というのは医療関係者にとっても上客であり、持ちつ持たれつの関係性を続けているのだ。


 しかし、かつての勇者は医療費無料というのが取り決めであった。まだ、勇者自身のリスク管理も周知されておらず、職業勇者制度の安全性の確立がなかったため、医療費無負担というのは絶対であったのだ。しかし、時の流れとともに安全性が向上し、勇者が医者に掛かる頻度も少なくなり、国民からの平等を求める不満も増えた。そして、内情は勇者は医療行為を受けるたびにある程度のチップを送っていたという現状もあったため、原則1割負担として制度が確立されたのである。 


 それでも、国民からは利用頻度の多さの割に1割負担というのは保護しすぎではないかという意見が多発しており、その優遇を是正する流れが巻き起こっている。ちなみに現在でも、医療行為にチップを送るという風潮は病院寄付という形で存続しており、戦闘不能状態の回復などの生死に関わるものに関してはその感謝の意として、多額の寄付を行うものも多いのだ。


 いずれにしろ、医療と勇者は切っても切れない関係性が続くため、今後は極地への出張医療などのサービス向上に力を入れ、さらなる生存率の上昇が見込めるものになると考えられている。それに比例して、勇者の自己負担額も増える傾向にあり、近いうちに三割負担の法案が可決するのではないかという調査結果も出ている。

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