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職業勇者制度が成立して100年経ったので識者の俺が解説してみる。  作者: コムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ
勇者にまつわるエトセトラ
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富裕層勇者の華麗なる冒険

 冒険で全国的に名声を上げるには、魔王を倒すこと以外にもう一つある。それは、金銭的に余裕のある勇者が冒険に出ることである。彼らは何かを成し遂げなくても、冒険に出るという事実だけで、周囲が沸き立つのだ。さながら軍隊のような大所帯であり、その道中にある街や村は特需的に潤いがもたらされるという実態まであるのだ。


 では、職業勇者でそのような大所帯冒険を成立させるにはどうすればいいのだろうか。富裕層勇者は幾つかにカテゴライズすることができる。まず、一つ目は、貴族などの根本的に富裕層の者が勇者になった場合を挙げる事ができる。これは生まれ持った資金力を生かして、自由に旅をすることができる。貴族というのは、特権身分として様々な分野において世間をリードする存在である。我々からすると非常に羨ましい存在であるが、同業の職業勇者からすると、「坊ちゃん勇者」として下に見られることが多い。自分の力で財をなして、冒険を行なってこそ、勇者として一人前という価値観が強く、貴族の大所帯冒険を「団体客」と称して、嘲笑するものも多数存在する。


 二つ目は過去の冒険で巨大魔石発掘などに成功し、巨万の富を得たものを挙げることができる。一生働かないでもいいような財産を築き、それでもなお、名声を得ようと自身の全てを冒険に注ぐものが多い。そのようなものは冒険資金を惜しむことなく、万全の体制で臨むことが多い。また、魔石発掘は同業者に対しての知名度が抜群であり、冒険者内では有名人であるが、一般人レベルとなると知らない人も多い。


 最後は超巨大企業がスポンサーについているものである。彼らは勇者としての能力も最低限備えており、なおかつ世渡り上手な側面もあり、様々な面で優れた人材だと言えよう。企業スポンサーが付くと、メディアによる宣伝なども積極的に行われ、同業者のみならず、我々庶民に対する知名度も抜群である。特に、我々が知っている現役の勇者といえば、彼らが殆どである。各種広告に商品タイアップなど、様々なシーンで彼らの姿を目にすることだろう。メディアでも連日取り上げられ、私たちが知っている冒険のあり方というのは、この者たちの冒険であることが多いのだ。ちなみに、企業スポンサー付きの勇者も同様に同業者のやっかみを受けることが多い。


 大所帯となると冒険に100人程度で臨むことが多い。実働部隊も正規メンバー四人に加えて、サブメンバーとしてもうひとパーティ連れて行くとこがあり、それぞれに世話係が二人づつ付くものもあると言われている。また、後方部隊も多種多様であり、移動隊に加え、料理人や医者、ひいては専属のアイテム屋から武器屋などまで、冒険のバックアップはバッチリなのだ。馬車も組み立て式の簡易住居のようなものが存在し、旅先であるのに殆ど家と変わらないような生活を送ることができる。ただ、そのような大所帯であると必然的に費用が肥大することとなり、冒険中にそれを回収することは、ほぼ不可能に近い。したがって、冒険に金銭を惜しまないロマンを求めるものこそがこのような大所帯を形成するのだ。勿論、企業スポンサー付きのものは、その企業の広報活動を各地で行うという側面が強く、敵の討伐などといった本来の目的とは少し違った冒険になることが多い。


 そして、船舶や飛空挺を個人で所有することもあり、遠隔地への冒険が目立つのも特徴的である。同業者たちからはある種、疎まれているものの、領地拡大の分野においては大いに貢献していると言えるだろう。彼らは彼らしかできない大きな事業があり、勇者の役割も適材適所と考えることもできる。


 また、資金に難を抱える勇者が、本格的に魔王討伐を行う際は、そのような富裕層勇者に協力を要請することも多い。しかし、実際は資金難勇者パーティが魔王を討伐したのに、報道などでは資金面で協力しただけの富裕層勇者が魔王討伐を果たしたと報じられることが多いのだ。名誉と引き換えに資金提供を受けた勇者は歴史に名を刻まれることはないが、魔王をその手で倒したという事実は変わらないため、同業者たちからは彼らの方が敬われることが多い。しかし、一般市民は富裕層勇者こそが魔王討伐を果たしたと信じるものが多く、実態との乖離が見られる。

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