表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業勇者制度が成立して100年経ったので識者の俺が解説してみる。  作者: コムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ
この世界について
32/49

政治体制

 我が国は世襲制の王による絶対君主制という姿勢をとっている。勿論、国会も存在しているが、最終的な政治的意思決定は、国会を元にした王の一存に任されるのが常である。といっても、現在の王は、独裁的に猛威を振ることなく、国会の意見に同調するという姿勢をとることが多い。


 国会は、貴族院と民衆院の二大議会制をとっており、現状、貴族院を中心とした政策が行われるのが常である。貴族院はその名の通り、貴族身分にあるものだけで構成された議院であり、選挙によって選ばれるものではなく、代々、この国において古くから力を持つものが多い。対して、民衆院は平民身分から代表選挙によって選出される議院であり、賎民以外は皆平等に立候補の権利を持つ。といっても実情は、国家と月蜜関係にある勇者産業に従事する財閥からの当選が多発しており、半貴族的な側面が強い。


 もっとも、我が国はかつて、絶対王政かつ議会においては貴族院の独占であった。しかし、職業勇者制度確立において、力をつけてきた勇者ならびに勇者周辺産業が政治的影響力を望み、民衆院という形で割り込んできたという背景がある。ちなみに職業勇者が国政の場に進出するのは、同業者からもあまり歓迎さず、ある種の客寄せパンダとしてその政治手腕に不安が残り、批判されることが多い。したがって、勇者ではなく、国政に進んだ勇者産業関係者というのが、職業勇者の地位確保につながっているのだ。


 また、王の存在は国家の象徴的な側面が強く、民衆のマスコット的存在として広く愛されている。実質的な権力を持つのは、王周辺の貴族院の意思と、一部の財閥関係者である。しかし、外交においては重要なカードとなるため、王政を廃止することなく存続させ続けると考えられる。また、王室における王位継承は以前は男系男子が絶対であったが、魔法発見による女性地位向上もあって、王の血を引くものならば、女性にも認められるようになった。そのため、今後、我が国初の女王も誕生すると言われている。しかし、この裏には、絶対王政を取りながらも王の存在が実質、象徴的な役割しかなくなったという、王室の弱体化が原因としてあると考えられている。


 ちなみに職業勇者制度成立を目指した時代においては、まだ王の権力が莫大なものとなっており、魔王を初めて倒した初代勇者が直接、謁見の場で掛け合ったことにより、王の独断で職業勇者成立に至ったとされている。勿論、英雄とはいえ、平民身分であった職業勇者が当時、謁見までたどり着いたのは各種関係者の尽力があったと言われている。また、その当時の王は、脅威に対して対抗する意思があるなら誰にでも武器や金銭の提供を行っていたため、当時の民衆には財政難の原因として嫌われていた。しかし、そんな中から、初代勇者が魔王討伐という手柄を上げたことにより、凄まじい手のひら返しの賞賛を受けたという逸話がある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ