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職業勇者制度が成立して100年経ったので識者の俺が解説してみる。  作者: コムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ
冒険の流れ
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協会所属

 冒険に関連する各種項目と人物を紹介し終えたところで、この章では具体的な勇者の活動の流れを紹介していこう。職業勇者になったからと言って、いきなり大冒険に繰り出せるわけでもない。新人は新人なりに手順を踏んで、勇者世界に溶け込んでいく必要があるのだ。その基本的な流れを解説していくことにする。


 晴れて職業勇者となりこれから活動を行うとなると、まず初めに協会登録を行わなければならない。ならないと言っても強制ではなく、各種コネクションや情報提供を受けることができ、幅広い活動を行うことができるため、統計では94%の勇者が協会登録を行っているという結果が出ている。協会は数種類あり、主に予備校系列のものが多い。したがって、予備校ごとに上位組織が存在するような形でそれぞれが縄張りを持つという状態である。


 特に芒星会、モヅメユニオン、テレオロジストは三大協会と呼ばれ、協会シェア8割を誇っている。中でも芒星会は全体の4割の勇者が所属しているとされており、業界最王手として職業勇者界並びに予備校界で猛威を振るっている。モヅメとテレオロジストもそれぞれ二割程度のシェアを持ち、大手として全国的な展開を行っている。残りの2割は独立系と呼ばれ、主に農村部での活動が中心であったり、しがらみを嫌いDIYの姿勢で職業勇者として業務を遂行する者達のための協会など様々である。


 協会所属すると基本的には人材確保や情報入手の点において有利になり、幾分か仕事がしやすくなる。しかし、勇者は個人活動を美徳とするため協会の主導による冒険というのは少なく、あくまでも最低限度のライフラインとしての役割が強い。協会費用もシステムが異なっており、年収の1%を収めたり、月謝で一律に収めるなど多岐にわたる。


 協会に所属した新人勇者は基本的に、先輩勇者のもとについてアシスタント的に冒険を行うことが多い。パーティを編成する際には、実働メンバーは勇者二人に魔法使い、格闘家各一人づつという組み合わせが基本とされている。この時、中心となる勇者はもう一人他に若手勇者を選ぶことが慣例となっている。これは後学のための指導という側面もあるが、若手勇者をパーティに加えることにより、補助金が発生するため、それを目的とすることが多いのだ。ちなみに経験豊富な勇者二人で冒険に出ればさらに強さを発揮できると考えるかもしれないが、「船頭多くして船山に登る」という言葉があるように、空中分解する可能性が高くなる。勇者とは高倍率の中から選ばれたエリートという自覚があるため、プライドが高いのが特徴なのだ。


 ちなみに補助金が発生するのは就業2年目までとなっており、それ以降は独り立ちするというのが一般的である。戦闘においても、剣術以外の武器で参加することが多く、これは同じ武器を持つ者が同時に戦闘を行うと、どうしてもバランスが崩れるという問題からである。したがって、勇者になれたからと言って、すぐに剣を振るうことはできないのだ。しかし、最近では剣術二人体制も見直され、復活の兆しも見えている。


 また、新人勇者は初任給の三割を親や予備校などの各種関係者に渡すという慣例がある。勇者になるには周りのバックアップが必要不可欠であるため、感謝の意を表すという意味合いが強いのだ。その慣例は三年目まで続くとされており、なぜ三年目までかというのは諸説あり明らかになっていない。そして、それに該当するものは、最初の月は必ず先輩に奢ってもらえるという文化も存在する。これは金銭的に困窮する若手を救済するという側面もあるが、実質的には先輩に顔を売るという役割が強く、ここで多くのつながりを持つことが重要とされている。ちなみに最近は先輩との会食を嫌がるものも多く、自主的ではなく協会主導の交流会という形式をとっていることが多い。

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