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職業勇者制度が成立して100年経ったので識者の俺が解説してみる。  作者: コムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ
周辺制度
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武器

 勇者といえばやはり武器の存在が必要不可欠となる。一番使用頻度の高い商売道具であり、強くこだわりを持つものが多い。まず、勇者は基本的に剣術を用いる。これは試験科目ということもあり、広く推奨され、剣を用いるものこそが勇者であるという価値観が強い。勿論、剣以外にも、槍、弓、斧などの使用が一般的であるが、これらはあくまでも一芸的な要素にとどまることが多い。この項では特に勇者の基本である剣について詳しく解説していこう。


 剣とは勇者の体の一部であると考えられている。単なる道具の域を超え、人体の構造の一つだとするほど、重要視されるのだ。大半の勇者は職人手作りによる特注品を使用する。いい武器の条件とは、自分の手に一番馴染むものという考えが一般的であり、勇者は剣に関しては妥協を許さない。


 職人の手作りということでその製作過程を解説しよう。素材は主に鋼が用いられ、鉄に焼き入れすることにより超硬度を実現しているのだが、その工程に少し特徴があるのだ。通常の刃物を作成するときは我々は火を用いて焼き入れを行う。しかし、勇者が使用するに価するクオリティを目指すなら、魔法由来の炎(その性質は火とほぼ同じだと考えらているが、厳密には似て非なるものである)を利用するのだ。それを利用することにより、火では再現できない超高温かつ高精度の焼き入れを実現でき、火で焼き入れしたものとは比べ物にならない精度を誇る剣が作り上げられる。この剣は魔法の発見以来、実現できたものであり、魔法という概念が、かつての兵器だと考えられていた剣の強さをさらに上昇させたと考えられている。


 その値段としてはオーダーメイド品なら一本100万タラバ以上するとされており、勇者の財布を圧迫する原因となっている。しかし、剣こそが勇者のアイデンティティとなっているため、多くのものはまず、武器購入に予算を割くことから始める。ちなみに、資金のない予備校生や若手勇者はお手軽な値段で手に入るメーカー品を使用することが多い。最近では、メーカー品といってもその精度は侮れないものとなっており、一本10万円から入手することができ、とてもお買い得である。また、著名な勇者になると道具提供という形でオーダーメイド品を無料で手にいれることができる。その勇者モデルの剣が作成されるなど、子供たちから絶大な支持を受けることができるのだ。

 

 また、メーカー品は各地に存在する直売店や代理店にて入手可能であるが、職人によるオーダーメイド品の入手は困難を極める。基本的には、一見さんはお断りであり、そこで注文経歴のあるものからの紹介を受けなければ、利用することができない。また、剣一本の作成に最低1ヶ月かかることからも、著名な職人となると数年の順番待ちをすることも多い。ちなみに勇者の中には剣にこだわるあまり、勇者廃業し、職人に弟子入りして剣制作の道に進むものも少なくない。勇者出身の職人は、実践経験に基づく合理的なつくりからか評判も高く、中には「剣を振れてこそ一流の剣職人」と考える者も存在するのだ。


 ひとえに剣といっても様々な種類が存在する。剣の速さを追求し、テクニックを重視するなら軽く、細長いタイプのもの、力を追い求め、一撃でねじ伏せることを美徳とするなら、いわゆる大剣というものを用いる。まずは自分の特性や持ち味を理解することから、武器選びは始まるのである。ちなみに、勇者の中には自分の使用する剣を他人には一切触らせいものが多い。他人の「握り」が入ると、そのバランスが微妙に変化するということでかなり神経質になるのだ。中には、オーダーメイドを頼む際に、実戦用と観賞用の二種類依頼するものもおり、その価値は単なる武器の域を超え、美術品であったり、ある種神聖な道具として扱われている。

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