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職業勇者制度が成立して100年経ったので識者の俺が解説してみる。  作者: コムギ・ダイスキーノ・アレルギノフ
勇者の特権
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スポンサー

 スポンサーの存在は特権とは少し違うが、職業勇者特有のものであるため、この章で記しておくことにする。勇者といのは前述した通り、金銭の工面こそが最重要視されるのである。例えば、半年計画で冒険に出るとするならば、その半年前から準備を行わなければならない。目的、ルート、人材、関係各所に対する連絡など、その手続きは多岐にわたる。その中でも、それを遂行するための資金というとのが必要となる。その資金を提供してくれるのがスポンサーの存在である。


 スポンサーの種類は企業スポンサーと平民スポンサーの2種類がある。まず、企業スポンサーであるが、企業ロゴを付けた装備などを身につけ、冒険を行うことで、企業宣伝を行い、金銭を負担してもらうという制度である。これはすべての準備を一括して行うため、勇者としては負担が少なく、なおかつ企業タイアップとして自身の名を広く周知させることができるのだ。


 しかし、スポンサーについてもらうまでの道のりは険しく、ある程度の実績とコネクションを持ち、かつ企業主催のコンペディションを勝ち抜いていかなければならない。そして、冒険を失敗した場合にはその名前に傷をつけることになるので、その後の活動が厳しいものとなるとも言われている。また、企業側もリスク管理が厳しく、無茶な工程があるとすぐに却下されてしまうなど、思い通りの冒険プランは実現できないことが多い。おまけに、企業スポンサーが何社も合同で付いていると企業間の利害関係調整のために、計画がさらに長期にわたる場合も多いのだ。

 

 また、オフには講演活動など職業勇者とは別の活動で拘束されたり、冒険中には密着ドキュメンタリーの撮影部隊が入るなど業務に集中できないことも多い。そして、冒険中に見つけた財宝などは企業のものという契約になっているところが大半で、実働する勇者たちは成功報酬という形で金品の一部しか受け取れない。したがって、冒険と言いつつも徹底的なリスク管理が行われ、もはや探索は「移動」であるという批判も多い。

 

 ちなみに個人活動を美徳とする職業勇者はこういった商業主義的な側面を大いに嫌う。しかし、敵対する勢力の根本的な壊滅を目指すような大規模プロジェクトとなると、必然的に企業主導でないと纏まらないため、企業スポンサーというのは必要不可欠であるという意見も多い。


 またこれに派生して、貴族スポンサーというものも存在し、これは貴族出身の職業勇者が受けることが多い。莫大な資金力を生かして、すべて個人で完結できるためメリットは多いが、そもそも貴族とのコネクションを持つことがが職業勇者と言えども一般平民出身者には困難なため、このケースは特殊である。


 対して、平民スポンサーであるが、これは平民一人一人から小口で資金を調達するプランである。これは投資という側面が強く、冒険を終え勇者が利益をあげれば、そのいくつかは市民に還元されるというシステムである。もちろん、冒険が失敗に終われば、その資金は還元されない。平民たちはこの投資をある種の娯楽として楽しんでおり、1000タラバ程度の小口で参加できることからも平民スポンサーという文化は彼らの生活に広く馴染んでいるのだ。

 

 勇者側も企業スポンサーに比べると大規模な資金調達は困難であるが、比較的自由に冒険を組めたり、発見した財宝も自分のものにできるなど、メリットは大きい。多くの勇者はこの制度を利用しており、勇者が冒険に出るときはまずこの募集をかけ、集まった資金によって、延期か工程を決定し、さらなる準備に移るというのが一般的である。

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