4/6
入浴中
足先から肩口まで
温もりが包み込む。
傷付ける事なき柔らかさが
温度と共に包み込む。
否。望む温度だからこそ、
傷つかない。
望まぬ高温、望まぬ低温ならばどうか?
この安堵は望むが故に得られているのだ。
欲すれば望め。願わねば叶わん。
目蓋を閉じ、ため息を吐き。
湯を漉き、腕を浮かす。
望む世界が永く得られますようにと願わくば、
追い焚きの労力が欠かさぬと知り。
望むものにとって
あり続ける難しさは
成長を望むもののそれよりも難き事なのだと。
湯をあがる時に感じる
冷めた湯に思う。