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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第四章 新しい力

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54/56

2月3日・後編

遅くなりました。

話の内容から、前話のタイトルに前編を付けました。

内容に変更はないです。

6:30

明け方、不意に目が覚めた。

虫の知らせと言う奴だろうか?

何時もなら昼辺りまで寝ているのだが、どうにもゲームが気になってしまう。

はやる気持ちを抑えつつログインを済ませると二回戦を指揮する場所へと急ぐ。


フィールドを上から俯瞰する様に見ることのできるその場所で、戦況を確認すると如何やらこちらがあと一つの拠点を落としてしまえば決着がつくところまで行っていた。

杞憂に終わりそうだと思いたいのだが、どうにも不安が治まらない。


そうしている内にも、デコーズがタクトを振るい最後の拠点目掛けて攻撃を仕掛ける。

最後の一つであったテーブルマウンテンの頂上にある拠点に向かって攻撃を開始していたゴブリン四天王率いるハイカイゴブリン達が、今まさに到着したところ。

その瞬間、不安が一気に爆発した。


「退け!デコーズ!早く、撤退しろ!!」


気が付くと直接指揮するためのコンソールに向かって叫んでいた。

デコーズは、此方の意図を図りかねているようだったが、納得したのか撤退の指示をとばす。

そもそも、全てデコーズに任せるつもりで指揮を出す予定ではなかったので、突然のこちらからの指示への反応は思わしくない。

そして、それが命取りとなった。


突如最後の拠点があったテーブルマウンテンが揺れた。

ハイカイゴブリン達は、立っていることが出来ず地面にへばり付き、揺れが収まるのを待ちながら耐えていたのだが、そういう状況では無くなてしまった。


テーブルマウンテンだったモノが、その巨体を揺り動かしながら立ち上がったのだ。

それは、とてつもなく巨大なゴーレムだった。

土煙を周囲みまき散らしながら立ち上がったゴーレムは、全長数千メートルはあろうかお言うほどで、どれ程の≪魔王≫レベルが有ればそれを戦場に投入するコストが補えるのかと言うほど圧倒的な強さを感じた。


「ウォォォォォォォォォ!」


世界中を震わせるほど大きな雄たけびを上げる巨大ゴーレム。

その咆哮だけで、張り付いていたハイカイゴブリン達が剥がされ衝撃により吹き飛ばされる。


「退け!退くんだ!」


相手フィールドから撤退することで早期敗北となるが、配下のモンスターの被害を少しでも減らすことを第一条件として、慌てた様子でデコーズがタクトを振るう。

生き残ったハイカイゴブリンや手乗りワイバーンが撤退を開始するが、それを阻む様に巨大ゴーレムから小型のゴーレムが生み出される。


あと一つまで迫っていた為、相手フィールド奥深くまで進行していた事により撤退戦はうまくいかない、すでに敗北が決まっていることでモンスターたちの士気が低い、恐慌状態に陥ったモンスターが道からハズレ殺されていく。

あと何時間この映像を見ていなければならないのか。


全ては、自分の責任だ。

相手の情報を可能な限り調べることもせず、指揮担当のモンスターを造り丸投げした。

もっと出来る事が有ったのではないかと言う後悔と出来る限り生き残ってほしいと言う願いを胸にその映像を見続ける。


撤退が始まって一時間。

配下のモンスターの数は、撤退を開始したときより3分の2まで減っていた。

そして、フィールド境界線まであと数百メートル、もう少しで撤退することが出来ると思うのだが、そう簡単に事が運ぶわけではない。

巨大ゴーレムは、元の大きさの半分くらいになり生み出された小型ゴーレムによりフィールドが徐々に土色に埋め尽くされつつあった。

四方を小型ゴーレムに囲まれ絶体絶命の配下のモンスター達。

デコーズが指揮を執ることで、何とか生きながらえてきてはいるがこの物量差ではゴーレムの海に飲まれるのは時間の問題だ。


何かいい案が無いかと考えていたが、何も浮かんでこない。

そうこうしている間にも数を減らされていく。


ドォォォォォン!!


突然、囲んでいた進行方向のゴーレムが吹き飛ぶ。

そこへデコーズ達が切り込んで退路を作り、一斉に流れ込んでいくように見えたが、動かないモンスターが居るようだ。

ここが、撤退戦の最後の砦とばかりに追ってくるゴーレムたちを退ける為足を止めて向き直ったのはゴブリン四天王だった。


「何やってる。タロウ!ジロウ!サブロウ!シロウ!お前たちも早く撤退しろ!」


思わずコンソールに向かって叫ぶが、ゴブリン四天王は此方が見えているのか空を一度見上げて「ギャ!」と笑うように鳴き声を上げた。

そのあとは、鬼の様な形相に変わったかと思うと大量のゴーレムたちを相手に戦い始めた。


迫りくる数百体のゴーレムから撤退をするために殿を務めることになったゴブリン四天王は、よく戦った。

初めて名前を付けたあの日から約三か月。

指示通り鍛錬を積んでいたのは、たまにする試合や直接指揮するハイカイゴブリン達を見ればよく分かった。

タロウがスピードでゴーレムを翻弄しつつ一体ずつ動きを封じて、それをジロウが止めを刺す。

サブロウが相手攻撃に合わせてカウンターで倒し、シロウが一閃に似たアーツを放ちゴーレムの首を飛ばす。

各々の個性に合わせて作った刀を渡し、見違えるほど育っていた彼らではあったが、それでも物量差の前に一人また一人とチリとなって消えた。

それでも彼らの行動により、撤退組がそれ以上数を減らすことなく境界線を超える事に成功した。


こうして二回戦の敗北が決まったのだった。

お読みいただきありがとうございました。

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