表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第四章 新しい力

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/56

1月23日

毎度更新が遅くて申し訳ないです。

新しく出すモンスターの設定が中々思い浮かばず時間がかかってしまいました。

まぁ言い訳はこれくらいにして、それでは本編をお読みください。

1:00

いつもの様にログインを済ませて魔王の間で目が覚めると窓際に居たデケが、此方に気付き近寄って来た。


「今日は何をするニャ」

「昨日言った通り、新しいモンスターを造るぞ」

「それは、楽しみだニャ」


そう言って肩に飛び乗るデケを連れて、モンスターを作る為に工房に向かう。

工房の奥に設置したモンスター作成装置に本日のメイン素材となるワイバーンの素材を放り込む。

ずらっと候補が出てくるが、今回はアイテムボックスの肥やしと化していたヘイゼン沼地の主をはじめとする素材も入れることにした。

そうしてモニターを確認すると、候補が3倍近くに膨れ上がり選ぶのも一苦労になってしまった。

一つ一つの基礎能力などを確認しつつ全ての候補を見た結果、良さそうな候補が居たので選択し、後はMPを注ぎ込んでステータスとスキルを決めてしまえば完成だ。

__________________________________

非行カメたん

 HP:A MP:C

 ATK:B DEF:A INT:D SPD:D DEX:C

 ≪毒ブレスB≫≪硬化C≫≪飛行D≫≪HP/MP回復C≫

 魔力コストA

 見た目は、亀の体からワイバーンの頭が生えている何とも言えないフォルムになってしまったが、とにかくデカい。ワイバーンの1.5倍ほどもありとても飛べそうにはないが飛行をDまで上げたことで飛行時には腕が飛行形態に変化して飛ぶことが出来るようだ。

 ≪毒ブレス≫はランクによって効果範囲ではなく毒の威力が上がるようでBまで上げたことにより、猛毒というバットステータスを付加することが出来る。

猛毒は、回復しない限り永続的に効果が続き、秒間3%のHPを削るという30秒ほどで瀕死となってしまうかなり厄介な状態異常だ。

 ≪硬化≫は、ただでさえ高いDEFをMP消費と引き換えにさらに強化できるスキルだ。

 そして特筆すべきは、≪HP/MP回復≫だろうか?

今まで、このスキルが選択候補に現れたことは無かったので、おそらくワイバーンの素材を使ったことで解禁となったのであろう。

効果は、常にHPとMPを秒間1%回復し続けるというものだ。

元々かなりタフなモンスターで有るが、≪硬化≫と併用することで、もしかすると倒せないなんてこともあるかもしれない。

__________________________________


「よし、完成っと」

「大な亀だニャ~、これで終わりかニャ?」

「もう1体作る予定だ。」


そう言って、枯渇したMPを自家製ポーションで回復して、もう一度ワイバーンの素材を放り込みパネルを操作する。

__________________________________

手乗りワイバーン

 HP:C MP:C

 ATK:B DEF:C INT:D SPD:C DEX:C

 ≪突撃C≫≪ブレスC≫≪飛行B≫≪HP/MP回復C≫≪集団行動D≫

 魔力コストC

 体長15cm羽を広げて30cmほどの小型のワイバーンでこれ以上大きくならない。

 通常サイズだと≪飛行≫をBまで上げるのに10倍以上のMPが必要な為、体を小さくすることで高速飛行を実現した。

見た目に反して、かなり強めのモンスターになったと思う。

__________________________________

いろいろ、制限を掛けたことで何とか魔力コストCに抑えることが出来たが、これに群れで襲われたら軽く死ねる。


「なんか弱そうニャ」

「そう思うなら戦ってみるか?

 そういえば、デケが戦うところ見たことないし」

「それは、ご主人様が連れてってくれないのが悪いニャ」

「いやいや、こっちに帰って来てからはついて来てもよかったのに氏浦にさっそうと消えて行っただろ」

「ソレは新しい場所を確認するためニャ」

「まぁ、そう言うことにしてやるか。それで、戦ってみるか?」

「いいニャ、我が力を見せつけてやるニャ」


場所を、領地内の闘技場に移して手乗りワイバーンを一体召喚する。

睨みあう両雄の間に火花が散る演出鷹は特にないが、そんなわけで手乗りワイバーンvsなんちゃって魔神ネコデケの熱い戦いの火ぶたが切られたのだった。


先制を取ったのはデケだ。

デケの周りに無数の闇魔法が展開される。

見た所、ダークの小型版を複数展開しているようだ。


「行くにゃ、降参するなら今の内ニャ」


そう言って、展開していた魔法が次々と手乗りワイバーン目がけて飛んでいく。

ソレを器用に避けながら魔法射出後のスキの出来たデケに向けてバレルロール出来な動きで突撃する手乗りワイバーン。


生意気(ニャまいき)な奴ニャ」


デケは突撃を難なく躱して追撃の魔法を仕掛けるが、手乗りワイバーンも当る気配がない。

このままこう着状態が続くかと思ったが、


「仕方ないニャ、空中戦で仕留めるニャ」


とデケが呟き、体に不釣り合いな小さな羽をバサッと広げる。

広げた羽で飛ぶのか中と思いきやデケは、空中を手乗りワイバーン目掛けて駆けあがった。

しっかりとした足場が有るように空中を踏みしめ何もない空間を立体的に跳ねまわるデケが、遂に手乗りワイバーンを捕まえる。

しかし、手乗りワイバーンは反撃とばかりに至近距離からブレスを吐きかけた。


「ぐぬぬぬぬ」


ブレスに弾かれてやっと捕まえた手乗りワイバーンを放してしまう。

そこへ、ここぞとばかりに襲い来るブレス攻撃に対して、空中に爪を立てて踏ん張るデケ。

ブレスか途絶え息を切らす両雄、先に動いたのは手乗りワイバーンだ。

デケに高速で突撃してこの勝負を決めるつもりのようだ。

其の儘決着がつくかと思った瞬間、


「あまいニャ」


デケが、そう言ったと思ったら手乗りワイバーンの前方に突然闇色の壁が現れる。

【ダークウォール】だ。

ブレスを防ぐためでは無く、何故か突撃を防ぐために展開したデケ。

だが、ダークウォールは対象を吸い込んで消すことは出来るがあくまで非生物にのも効果が有るので手乗りワイバーンには効かないはずだ。

予想通り何事もないかのようにダークウォールを突破する手乗りワイバーンがそのままデケにぶつかると思ったのだが、何故か失速してデケの前あたりでは見る影もない速度まで落ちていた。

デケは、宙返りの要領で手乗りワイバーンの背中に器用に乗ると背中の羽を閉じた。

すると、突然の重さにバランスを崩してワイバーンがデケを乗せたまま墜落した。

そこからは一方的だった。

羽を抑えられても抵抗する手乗りワイバーンの首を食いちぎる形でデケの勝利となった。



「うん、まぁまぁニャ」


勝ち誇ったようにセリフ吐き捨てたデケに、こいつは群れで行動するから1匹相手に苦戦するようではフィールドでは死ぬぞと忠告しておいた。


まぁ何はともあれ、手乗りワイバーンの出来は上々だった。

これなら、腕試しにも素材狙いでの獲物にも丁度いいだろう。

次は、非行カメたんの調子を見てみるとしよう。

デケを観客席に呼んで、交代で闘技場のリンクへと降りて、召喚する。

見上げるほど大きな亀が姿を現した。


先ずは試しと右前脚に【一閃】で切りかかる。

皮膚を裂きはしたが致命傷には程遠い、DEF:Aは伊達じゃないと言う事だろう。

一旦距離を取ると、≪HP/MP回復≫の効果で見る見るうちに傷口が塞がってしまい先ほどの攻撃のダメージが完全に回復してしまったようだ。

これは、回復速度を上回るペースで一気に倒してしまわないと長期戦になった上で此方のガス欠で負けると言うパターンに陥りそうだ。

どうしたものかと考えていたところに毒ブレスが放たれた。

検証の為にも喰らってみることにした。

一応、猛毒解除用のポーションを片手に握りしめて襲い来るブレスをまともに受ける。

毒ブレス自体には、ダメージは無いようで感覚としては突風にあおられる程度でHPが減ることは無かった。

問題はそのあとだ、ブレスの通った辺りに紫色の霧の様なものが発生するのだ。

当然その霧の真っただ中にいる為に息を止めて霧の範囲から逃れようと行動を開始する。

如何やら吸い込まなければ、猛毒にはならないようだが皮膚で触れるのもアウトの様で目には痛みが走りステータスには毒と盲目のバットステータスが表示されて居るようだ。

持っていたポーションを頭からかけて目を洗い回復する。


そんな隙を逃すはずもなく、非行カメたんが上空からその巨体を生かしてプレスを仕掛けてくる。

居間の体勢からでは、プレスの範囲外に逃げるのは無理そうだと判断して武器を刀からハンマーへと切り替えて迎撃の為に構える。

どんどんと迫ってくるカメの腹に目掛けて、高速回転で唸りを上げるドリルハンマーが炸裂する。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!【フルスイング】!」


雄たけびを上げながらアーツを発動させた。

一瞬、非行カメたんの落下が止まり全身に電気が走った様な震えを見せた後力なく倒れ込む形で押しつぶしてきた。

下は固い地面なので、いくらプレスの勢いがなくなったとはいえ押しつぶされたらたまったもんじゃない。

ハンマーをしまい両手で亀の腹を持ち上げるように力を込めて突き出す。

全身に非行カメたんの重さがのしかかる。

脚は震えて今にも膝をつきそうで、とても此処から脱出するのは無理そうだ。

ここで死ぬのは、デケの手前かっこ悪いので最終手段を取ることにした。

意識の中で、コンソールをいじり手乗りワイバーンを追加で10体ほど敵として召喚する。

≪孤軍奮闘≫のスキルが発動して体の中から力が湧いてくる。

先ほどまでギリギリ受け止めていた非行カメたんを横に投げ捨てるようにして脱出に成功した。


新たに召喚した手乗りワイバーンは、非行カメたんの甲羅にとまりこちらを警戒している。

投げ捨てられた非行カメたんは、どうやらプレスにカウンター気味に入ったハンマーの攻撃で気絶しているのか動かない。

このチャンスを逃すわけにはいかないので、非行カメたん目掛けて駆けだした。

手乗りワイバーンが一斉に飛び立ちブレスや突撃を仕掛けてくる。

流石に、小さな体から放たれるブレスは軌道を読めば避けれるのでそれほど苦も無く突撃してくる奴らを刀で切り刻む。


2匹ほど数を減らした手乗りワイバーンが新たな動きを見せた。

編隊を組み役割をもって攻撃を開始したのだ。

多分≪集団行動≫のスキルの効果であるのだろうが、先程の攻撃と比べるとその精度が違う。

牽制で、ブレスを放ちその隙を突くかのように後ろから突撃を仕掛けるなど統率の取れた攻撃が繰り出される。

此方も、≪空間把握≫のスキルを使い後ろからの攻撃などに対処しながらすれ違いざまに切りつける。

更に数匹倒したところで、非行カメたんが目を覚ました。

ハンマーの攻撃で2割ほど減っていたHPが手乗りワイバーンとのやり取りの間に回復してしまっていた。

非行カメたんが目覚めたのに気が付き一旦距離を取る、手乗りワイバーンがブレスの準備をする。

毒ブレスと共に放たれたソレは、毒ブレスに引火して大爆発を引き起こす。

紫色の炎に包まれて、毒と火傷のバットステータス受ける。


「苦戦しているようだニャ、助っ人はいるかニャ?」

「大丈夫だ、何とかするからみてろ」


観客席からデケが、声をかけてきたので其れに応えながら二度目のポーションをかぶる。


グルルルル!と唸り声を上げながら迫る、非行カメたんと手乗りワイバーンにデケがやっていた複数展開を思い出して【ダーク】を発動させてみると周囲に無数の闇の玉が現れた。

自分を守るように漂わせながらこちらも、相手目掛けて駆け出した。

複数展開した【ダーク】を制御するのが中々に難しいが≪空間把握≫が補助として働いているようでなんとなくではあるが、制御することに成功していた。

時に盾の様に張り巡らせて攻撃を防ぎ、撃ち出しては敵の数を減らし何とか、手乗りワイバーンを倒し斬ることが出来たが、MPの残りはもう僅かとなっていた。

対する非行カメたんは、回復を続けているため未だに8割をキープしている。

ここからは、邪魔な手乗りワイバーンが片付いたこともあり上がったステータスで蹂躙すれば何とかなるとは思う。

再度、【一閃】で右前脚に切りかかる。

先程と違い両断することに成功しHPを大きく削った。

中ほどから欠けた足にバランスを崩して倒れ込んだところに追い打ちをかける為次なる攻撃を仕掛けようとしたところ、非行カメたんは頭や足を甲羅の中にしまい硬化を発動した。

≪硬化≫のMP消費は、≪HP/MP回復≫の回復量を超えるような設定だったのでこの状態でHP以外が回復することはないが、それでも見る見るうちにHPが増えて行く。

甲羅を刀で斬り付けるが、先ほどまでの手ごたえと違い大きく弾かれてしまう。

再度武器をハンマーに変えて、残りのMPを使い高速回転を発動させて、掲げるように振り上げた。

ここで大事なのはイメージだ。

あの屋敷で散々やったススキで丸太を斬る修行の応用だ。

甲羅の目を観察して弱い一点を見付けて、そこに最大限まで高めた砕くイメージと共に振り下ろす。


「【ヘビースタンプ】!!」


バゴン!と大きな音が響き渡り、甲羅が割れる。

振り下ろされた場所から、【ヘビースタンプ】の効果の振動が非行カメたんの前進を走り抜ける。

その衝撃で硬化がキャンセルされて硬さに変化が起きた。

そこへもう一発【フルスイング】を割れた甲羅目掛けて叩きつけた。

非行カメたんの体が宙を舞い、闘技場の壁へと突き刺さる。

その大きな衝撃で、壁の一部と客席が崩壊してしまったが、何とか非行カメたんを倒すことに成功した。


「お疲れ様なのニャ」

「おう」


非行カメたんが光になって消えるとともに、観客席から肩に目掛けて飛び降りてきたデケが頭をほっぺたに擦り付けながらねぎらいの言葉を発したので、頭を撫でてやりながらそう答えた。

デケは、気持ちよさそうに目を細めてにゃ~と鳴いた。




そのあとは、音を聞きつけて現れたビルドベアリーダー・バルに説教と闘技場修復の手伝いを言い渡されて、何とか終わったところでログアウトすることになった。


お読みいただきありがとうございました。

感想・誤字脱字等ありましたらよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ