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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第四章 新しい力

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1月22日・後編

結局、今使うのは勿体ないと思ってしまって奥義書は使わず道場を後にして領地へ飛んだ。

到着と共にデケは、領地を見て回ると言って肩から飛び降りてメインストリートの路地に消えて行った。

今までも十分勝手であったが、使い魔ってこんなに自由に動くものなのでしょうか?

主人から一定距離離れられないとか無いのか?


其れはさておきライフスタイルクエストだ。

≪魔王≫が20を超えたので新しい【魔王の楔】は持っている為、取りあえず2つ目の領地を手に入れることから始めようと思う。

直ぐに手に入れられるのは、ヘイゼン沼地だがあそこはフィールドとしてあまり人気が無いのだ。

沼地独特の匂いや沼地と言う自然トラップがプレイヤーの行動を阻害し、徘徊するモンスターにデフォルトで備わっている毒攻撃が原因だ。

実際に体を動かす感覚でやるVRゲームにおいて毒と言うのは敬遠されがちだ。

ただダメージが有るだけではなく、微熱を発生させたり酷いモノになると熱に浮かされたようになり思うように行動がとれなくなったりするのだ。

そして、モンスタードロップもあまり高値で売れるようなものが落ちないとあってヘイゼン沼地は過疎化の一途をたどっている。

そうなると、何処か別のフィールドを手に入れた方が領地から得られるモノが増えると言うものだ。


そうなると一番いいのは、火山フィールドになると思う。

最近やっとあそこのワイバーンを倒す猛者たちが現れた様で素材が高値で取引されているのだ。

一攫千金を目指して火山フィールドに入るプレイヤーが増えた為、領地の宿屋も結構にぎわっているようだ。

訪れる人が増えると言うことは、必然的に死に戻るプレイヤーも増えると言うことでそういう意味では、近場の中では一番の稼ぎを見込める領地候補なのだ。


数か月前はあっさりと返り討ちに有ってしまったが、あの修行を超えた今なら倒せるのではないかと言う淡い自信があるのだ。


早速やってきました、火山フィールド。

道中のモンスターは、ゴーレムやトカゲなどだ。

以前と比べるとやはり苦戦はしなくなっているようだ。

そうして火山の中腹まで登った時、けたたましい鳴き声と共に奴が現れた。


ギャォォォォォ!!!


上空からこちらを目掛け、大きな口をこれでもかと言うくらい開いて迫ってくるワイバーン。

何とか躱して距離を取る。

攻撃を躱されたワイバーンは、上手く着地を決めれず地面に腹をこすりながら数メートル転がったのちにこちらを忌々し気に睨んできた。

10mを超えようかと言うその巨体に以前の記憶が若干よみがえり身がすくむ。

それでも力の差がどれくらい変わったのかを調べる為にもと【一閃】を仕掛けるために精神集中を始める。

睨みあうこと数秒、ワイバーンが大きく息を吸い込むのが分かった。

おそらくブレスの準備行動であろう、みるみるうちに大きく膨らむワイバーンの腹に頭の中で警報が鳴り響く。

この距離でやりあっても負けるのは分かっているので、【ダーク】を牽制に放ち右足目掛けて【一閃】を放つ為に駆け出した。

ワイバーンは魔法による攻撃を翼を立ての様にして難なく受け止めるとブレスを吐き出した。

迫るブレスに一瞬足が止まりそうになるがここで足を止めてしまうと丸焼きになってしまう。

グッと足に力を入れて更なるスピードでブレスの射線の内側目指して走り込み何とか背中に掠る程度で済ませると勢い其の儘に切りかかる。

刀から伝わる手ごたえは、見違えていた。

簡単に弾かれた前回とは違い、深々と右足を切り裂き半分くらい切断することに成功した。

流石に骨までを一刀のもとに切り伏せることは出来なかったが、硬い鱗を持った足にここまでダメージを与えられたのは、ここ一ヶ月の修行の賜物だろう。

ワイバーンのHPを5%ほど削ったが、傷口がみるみる盛り上がり塞いでいくとHPは半分くらい回復していた。


何だその回復力は!


心の中で悪態をつきながら、更なる傷を負わせせるべく切り刻む。

ワイバーンも無抵抗に切られているわけではない、足による踏みつけや尻尾を振り回しての攻撃、押しつぶすためかボディプレスを仕掛けてくる。

ここで距離を空けてしまうと相手の思う壺なので必死に食らいつきながら攻撃を重ねていたのがが、ワイバーンが大きく羽ばたいた時に突風にあおられて数メートル飛ばされてしまった。


ワイバーンは、その場で2.3回大きく羽ばたきながら息を吸い込む。

強風に耐えながら、ブレスに備える。

身動きが取れない状態のこちら目掛けて、ブレスが放たれた。

「【ダークウォール】」

何とか詠唱に間に合った魔法を展開する。

【ダークウォール】は≪魔王≫が20になった時に覚えた壁魔法だ。

どの属性にも壁魔法はあるのだが、非物質系の炎や風属性は物理的な攻撃を通過させてしまう可能性があり、水や土は一定以上の攻撃で割れてしまうなどのデメリットが有る、闇属性の場合は壁に触れたモノを吸い込むような効果が有るようでブレスが壁の中に吸い込まれていく。

一見すると、闇属性は完璧な防御のようであるが消した攻撃の分更にMPを消費してしまうと言うデメリットが有る。


ブレスの通過と共にMPがごっそりと削られてしまったが、何とか生き延びることに成功した。

ブレスを吐き疲れたのか、ワイバーンの体勢が下がった。

チャンスとばかりに頭に切りかかる。

その攻撃で右目を潰すことに成功してからは、楽だった。

超回復力により右目も再生するのかと思ったが、如何やらそうはいかない様で完全につぶれたようだ。

死角が出来たワイバーンは、もはや大きなトカゲだ。

見えない位置から切り付け、此方を確認しようと残った目で探している間に更に回り込み切り付けた。

それでも、右目を潰してから数十分耐えたワイバーンのタフさには脱帽だ。


「よっしゃぁぁ、リベンジ成功だ。」


地に伏したワイバーンが、光になって消えだすのを確認してつい大きな声で叫んでしまった。

しかし、ここで予期せぬ出来事が有った。

覇者の称号をGETしたと言うアナウンスが出ないのだ。

ログを確認しても見当たらない。

???

もしかして、この強さで主じゃないのか?

グラッジ平原の主より強かったので、てっきり主だと思っていたのだがアナウンスが出ないと言うのはそう言う事なんだろう。

多分中ボス?的な立ち位置の強モブと言うたぐいなのだろう。

そうなると、主は山頂に居るのかな?

よくよく考えれば、ここはまだ火山の中腹なのだ。

さらに上を目指して進んでみるとしよう。


それから採掘ポイントで鉱石を手に入れたりしながら上ること、一時間。

中腹を超えてから、モンスターの生態系が変わりました。

ワイバーンが大盤振る舞いです。

一匹でもあんなに苦労したのに、番で出てくるとかこちらを殺しに来てるとしか思えない。

今日の所は、この辺で一旦戻るとしよう。

スキルの成長を見る限り、まだまだ此処のモンスターは早いと言われているのか異常な速度でレベルアップが進んでいるのだ。

その分、ポーションの減りが尋常じゃない。

自作じゃなかったら、かなりの出費になっていただろう。

それでも、ワイバーンが一匹で居るところを数体狩ることが出来て収支的にはプラスだと思う。

これを素材にして新しい住人でも作ろうかな。

クリスタルを使い領地に戻ると、何処からか現れたデケが肩に飛び乗って来た。


「おかえりなさいなのニャ」

「ただいま、散歩はどうだった?」

「そうだニャ、食堂の料理は美味しいし入り組んだ迷路は楽しめたのニャ」

「そうか」

「これからどうするニャ?」

「今日は疲れたから、このままログアウトだな」

「そうかニャ」


そう言うと、肩から飛び降りて再度、路地に姿を消すデケを見送ってその日はログアウトした。


_____________________________________

ヨウ

ライフスタイル コスト7

 ≪魔王23≫

装備スキル 3/3

 ≪孤軍奮闘89≫≪武運44≫≪空間把握50≫

控えスキル

 ≪刻印魔法30≫≪上級採掘12≫≪上級鍛冶12≫≪上級革加工5≫≪福運54≫≪上級錬金術15≫≪属性付加62≫

言語スキル

 ≪イデア語≫

商業ランク D

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】

 【トレント症を克服させし者】

 【魔神?のご主人様】

 【天心剣刀流・一人前?】

同行者

 【デケ】

毎度毎度不定期で申し訳ないです。

ところで、ステータスは本文ではなく後書きに書いた方が良いのでしょうか?

何となく今まで本文に書いていたのですが、今更ながら他の人はどうしてるのかなと思ってたりします。

まぁ、自分も他の作品のステータス部分に関しては結構読み飛ばしているので作者的に忘れないようにするために書いている部分が大きいかと思いますが…。

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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