1月21日
すいません、大変遅くなってしまいました。
戦闘シーンが思うように書けなくてこんなに間が空いてしまいました。
1:00
ログインしました。
フレンド情報を確認するとクレアさんはログアウト中のようだ。
如何やら深夜に入るのは、週末など休日前だけのようで普段は夕方~日をまたぐ前までだそうだ。
既に第一段階をクリアして、ともにダンジョンに潜る日々を過ごしているのだが、クレアさんのコロシアムランクはDだそうなので第二段階もDランクまでのダンジョンをクリアすることになるのでこのままだと抜かれてしまいそうだ。
焦る気持ちとは裏腹にボスを倒す目途は立たない。
と言うのもBランクのボスはダンジョン内の行動によってこちらの弱点に合わせたモノが生成されて現れることが分かったからだ。
試行錯誤を繰り返しながらダンジョンを抜けボスへ挑むこと十数回、一つのダンジョンとは思えない多種多様なボスを相手に大苦戦を強いられている。
カウンターをメインに戦った時は、対応しきれないほどのスピードを持ったタイプで、正面から木刀で切り払って進んだ場合は防御に特化した皮膚を持つタイプが現れて大きなダメージを与えることなく木刀が折れてしまったのでリタイアとなった。
本日三回目の挑戦を失敗に終えて、とぼとぼと道を歩いて道場への帰路につく。
いつものようにデケを抱いたおじいさんに迎えられて居間でお茶を飲みながらの反省会をしていると
「苦戦しておるようじゃの。
クレア嬢は課題をクリアしたようじゃぞ。」
「そろそろだとは思ってましたが、遂に抜かれてしまいましたか。」
「ふむ、ところで今どこまで行っておるんじゃ?」
「え~っとですね、Bランクのボスまでは行けるんですけど、どうしても倒せないんですよね。」
「ん?…Bランク?」
「はい、Bランクです」
「ぶわはははははは!!」
何故か突然笑い抱いたおじいさんに少しイラッとしながら
「何がおかしいんですか?」
「いや、すまんすまん。
お主のことを見誤っておったようじゃ。
てっきりCランク辺りと思っておったわ、よもやBとはのぉ」
「どういうことです?」
「つまり、お主に渡した木刀でBランクをクリアするのは無理と言う事じゃな」
「は?」
「【修練の門】のBランククリアは、コロシアムランクA挑戦への必須条件と言われるくらい道中からボスに至るまでが、それまでのランクとかけ離れておる。
道中のモンスターの平均能力がB、ボスに至ってはA+と言われておる。
ソレを難なく倒せるものにしかAランクの扉は開かれんのじゃ。
それほどコロシアムランクのBとAの間には大きな壁が有るんじゃ。」
「つまり、Bランクの猛者たちが最高の装備で挑んでもそう簡単には勝てないと言う事ですか?」
「まさしくそう言う事じゃ。
そこら辺の奴らでは、木刀1つで最奥までたどり着くことも出来まいて」
「ということは、第二段階のクリアは僕にはできないと言う事ですか?」
「いや、そこまで行くことが出来たのならクリアも同然じゃ。
明日からは、第三段階へと移ろうかの?」
「…いいんですか?」
「ふむ…納得いかんようじゃの。」
確かに、このまま第三段階に進めると言うのはある意味、悪魔のささやきのように心を惹かれるのもがあるのだが、この一週間ひたすら挑んでは返り討ち(主に武器破壊によるリタイア)にあってはいるが、もう少しで何か掴めそうな予感がするのだ。
現実世界で、そんな予感が当たったためしはないがこの中での事なら信じて突き進んだ方が良い結果に結びつくことの方が多い。
よし決めた!
「そのお誘いはすごくうれしんですが、僕はこのまま木刀でボスを倒して見せますよ。」
「そうか、決意は固そうじゃな。
ならば、何も言うまい。納得のいくまで挑み続けてみるといい」
「はい、ありがとうございます。」
残りのお茶を一気に飲み干すと、道場を出てダンジョンへと向かう先ほどまでのテンションが嘘のようにすっきりとして体が軽い、全速力で街中を抜けてダンジョンの受付でBランクの申請を出してそのまま潜る。
今までは、出来るだけ力を押さえて道中のモンスター達を相手にしていたが、こうなったら今持てる力を最大限に発揮してボスまでたどり着いてみせる。
そうすることで、今の自分に本当に足りないものが見えてくると思うのだ。
≪空間把握≫を全開にしてダンジョン内を全力で駆けまわる。
通路の合流地点から、剣を持った獣人が此方に向かって歩いてくるのが分かる。
速度を維持したまま、腰だめにした木刀から相手の首に目掛けて【一閃】を放つ。
吸い込まれる様に相手の首に木刀が伸びて行き、そのまま首が宙を飛ぶのを横目に確認して奥へと進む。
今度は2匹だ。
木刀を握り直して相手の位置を確認し、今度は【二閃】を放つ。
一振り目で前を歩いていた獣人を腰から肩にかけて斜めに切り上げて、二振り目を後方の獣人の首に振り下ろす。
2匹目にはさすがに防がれてしまったが、1匹目はそのまま地に伏せて虫の息だ。
焦らずに先ずは目に前の獣人に集中だ。
短剣を2本持ったシーフタイプの獣人は、危険察知能力が高いようで1匹目に攻撃をする前からこちらの動きに対処しているように見えた。
案の定、其の儘斬りかかった木刀による攻撃を短剣をクロスさせることで防いだ。
それでも1対1で負けるわけにはいかない。
出来るだけ隙を作らないように、木刀の耐久値を気にしながら相手の柔らかそうなところを狙って切り刻み難なく撃破するとさらに奥へと進む。
ソレを繰り返すこと数回、遂にボスの部屋の前にたどり着いた。
ポーションを飲み体力が前回になったのを確認して扉をくぐる。
今回のボスは、スピード型でもガード型でもなく特化したところは見えない。
戦闘開始から10分ほど戦ってみて相手の特性が大体つかめてきた。
弱いわけではない、いやかなり強いのだが特化型と比べて器用貧乏な印象を受けた。
全ての水準が高い様なのだが、飛び抜けて高いわけではないのだ。
今まで散々そう言ったボスを相手にしてきた為か何か物足りない。
目にも止まらない速さではないので何とか対応できるし、硬すぎるわけではないのでダメージが通るのだ。
しかし、そうはいっても此方の武器は木刀だ。
余り不用意に攻撃するだけでも耐久値はがりがり削られてしまう。
このまま行くと倒す前に折れてしまうのは確実だろう。
そうならない為にも相手のHPを一気に刈り取る一撃をお見舞いする必要がある。
となると狙うのは、人型のモンスター全般の最大の弱点である首になるだろう。
関節部はどうしても防御力が低くなってしまうので木刀で致命傷を与えるにも最適な部位と言える。
しかし、相手もそれを理解しているためそれなりの対処をしてくるので、先ずはその攻撃に至るまでのプロセスが大事となるだろう。
そんな事を考えながらも攻撃を続けていると遂に、ボスのHPが50%を切った。
そこで大きな変化が訪れた、一度距離を取ったボスの体から黒い煙の様なものが発生して部屋の中に充満しだしたのだ。
しかもこの煙、視界だけでなく探知系スキルの阻害までしてしまうようで≪空間把握≫での探知が出来なくなってしまった。
ボスの速度自体は変わってないと言うか、開始時点よりは各関節を重点的に攻めたので遅くなっているが、目による認識がしにくくなったために早く感じてしまう。
煙が充満してしまうと完全に見えなくなってしまうので、その前に止めを刺してしまわないと倒すことは不可能になってしまいそうだ。
そんな焦りのせいか結局、部屋の中は真っ黒い煙に満たされて1m先くらいしか認識出来なくなってしまった。
こうなっては、むやみに進むよりも音を頼りにカウンターで決めることに精神を集中することにした。
目を瞑り、【一閃】を放つために意識を攻撃のみに傾ける。
正面から以外の攻撃は、出来る限り最小限の動きで躱す。
おじいさんの攻撃に比べたら遅いので何とかなっているが、完全に躱すことは出来ずドンドンとHPが減っていき25%を切ってしまった。
耳を澄ませて相手の位置を探る、如何やらこの煙はスキルによる探知には影響するようだが、五感への影響は煙幕による視界くらいのようだ。
まさに対自分の為に作られているような能力である。
≪聴覚強化≫のようなスキルを取っていればまた違った効果の妨害が来たのであろうが今回に限っては、わずかな音を聞き分けることで何とか相手の位置を探ることが出来ている。
左足を軸に回転し、常に相手を正面に捉え次の攻撃に合わせて最大の一撃を与える為に機会をうかがう。
突然後方で、何かが転がるような音がして一瞬気を取られたところに正面からボスが迫って来た。
意識を急速に前方に集中して、迎撃の為に【一閃】を放つ。
慌てて放ったために首を斬ることはかなわなかったが、攻撃を放ってきた右腕を肘の辺りから下を斬り飛ばすことに成功した。
しかしその代償は、大きく木刀は刃の中ほどから折れてしまった。
あと数秒もすれば、残った柄の部分も光に変わってロストしてしまう。
「ここまで来て、負けてたまるか」
なりふり構わず折れた木刀を握り相手に飛びつき、折れた木刀の先をボスの喉元に突き刺す。
ボスは残った腕で此方を攻撃して必死に拘束から逃れようともがく。
折れた切っ先は思うように相手にダメージを与えられないが、それでもねじ込む様に力いっぱい突き刺し、ボスの足を大外刈りの要領で引っ掛けて転ばせると馬乗りになって両手に持ち替えた木刀を傷ついたのど元目掛けて振り下ろす。
ズプ!ゴリッ!
手に骨を砕く感触が伝わってくるとともにボスの体が大きく跳ねる。
一気にHPを失ったボスの体が光になって消えて行く、それと同時時手の中にあった木刀も完全にロストしてしまった。
「やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
年甲斐もなく大きな声で勝利の雄叫びを上げてその場に倒れ込む。
しばし、地面に寝ころび荒い息を整えるとログを確認して、ダンジョンクリアの再確認を済ませた後立ち上がりダンジョンを後にした。
「やりましたよ!」
道場に戻り、居間に居たおじいさんに向けて第一声を放つ。
「ふむ、更にお主を見くびっておった様じゃの。よもやあの木刀で攻略して来るとはのぉ」
「いやぁ、大苦戦でしたよ。木刀が相打ちになってしまってロストしてしまいました。」
「そうか、まぁこれで次の段階に進めるということじゃの。」
「はい、明日からもよろしくお願いします。」
挨拶をすませて道場を後にして重い体を引きずりながら領地へ飛んでログアウトした。
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ヨウ
ライフスタイル コスト7
≪魔王23≫
装備スキル 3/3
≪孤軍奮闘85≫≪武運40≫≪空間把握47≫
控えスキル
≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶12≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術15≫≪属性付加62≫
言語スキル
≪イデア語≫
商業ランク D
称号
【グラッジ草原の覇者】
【ヘイゼン沼地の覇者】
【トレント症を克服させし者】
【魔神?のご主人様】
【天心剣刀流・一人前?】
同行者
【デケ】
お読みいただきありがとうございました。
ちょっとした情報ですが、Bランクダンジョンのボスに関しては
主人公は、魔王スキル以外に身体能力が上昇するスキルを取っていないので様々なタイプのボスが出現しましたが、通常プレイヤーは何処かしら偏ったステータスになっているため、ダンジョン内での行動によるボスの種類はそこまで多くなることはありません。




