1月8日
遅くなってすいません。
修行シーンを描くのが難しくてこんなにかかってしまいました。
正月休みも終わり平常運転に戻ってあれから数日、まだ丸太を斬るには至っていない。
領地で日課となった素振りを済ませて、ソーディアへと飛ぶ。
先ずは、夜のうちにススキを集めてくるところからだ。
ソーディアから西に進み、渓谷を超えると見えてくるフィールド【ススキノ原】は、背丈を超えるススキが一面に生えていて、モンスターが視覚で確認出来ない為常時感知系のスキルをオンにしていないと不意打ちを受けてしまうような場所だ。
そんなわけで、≪空間把握≫のレベリングもかねてススキを集めに精を出す。
良さげな一本を刀で刈りススキに持ち替える。
丸太に向かう時と同じように頭の中を「斬ること」で埋め尽くし根元の辺りに向けて思いっきり横薙ぎに振り抜くと数十本のススキが宙を舞って、地面に落ちるとぽかりと開けた空間が出来る。
始めは、刀で刈っていたのだが修行の成果かススキを使って刈れるようになった。
「何か来たみたいだニャ」
この数日ですっかり語尾がネコっぽくなったデケから警告が飛ぶ。
意識を切り替えると確かに≪空間把握≫に反応が有った。
相変わらず効果範囲以外は無駄に性能の良い≪空間把握≫ではあるが、ここのモンスターは兎に角素早いのがそろっているため、この距離では避けるので精いっぱいだ。
草むらから飛び出してきたのは、ススキノゴブリンだ。
パッと見普通のゴブリンなのだが、装備が全部ススキで出来ているちょっと変わったやつだ。
ただ見た目で判断するとかなり痛い目に合う初見殺し的なモンスターでもある。
初めて遭遇した時は、速さだけのモンスターだと思って刀で切り付けた所、何故かススキで編まれた蓑みたいな防具に弾かれ、ススキと鍔迫り合いしてこちらが押し負けたりと色々とステータスが高めな上に、ゴブリンは2~6体の群れで行動しているのでとても厄介だ。
唯一の救いは、遠距離攻撃役が居ない事だ。
今回現れたのは、目の前の1体と隠れている3体だ。
目の前の1体は、ダガーくらいの長さのススキを両手に一本ずつ持ちこちらの注意を引きつける様に低い体勢で構えている。
残りの3体が、左右と後ろに回り込んでいるようなので如何やら囮役のようだ。
「援護は居るかにゃ?」
「大丈夫だ、このくらいなら何とかできる」
四体それぞれをロックオンして、此方も準備を整える。
目の前の1体が、低いうなり声を上げて襲い掛かってくると同時に残りの3体も草むらから飛び出してくるが、その動きは把握していました。
全ての攻撃が当たらない場所へと飛びのくとともに【バインド】を唱える。
飛びかかっていた為、方向転換も出来ぬまま着地地点で拘束されるススキノゴブリンの首筋に刀を突き刺していく。
実は、弱点さえ知ってしまえばここでは最弱なゴブリン。
一番の弱点は、火なのだがこれを使うと下手すると辺り一面火の海になってしまうのでおススメ出来ない。
2つ目が、ススキ以外の部分を攻撃することだ。
何故かススキ装備の強度がおかしな事になっているが、首筋などは着ていないのでそこを突けばあっさり倒せるのだ。
まぁおじいさん曰く、「あの程度も切れんようでは丸太を斬ることが、出来るのはいつになるかの」とのことだ。
そんなこんなで、ススキノ原入り口付近を見通しが良くなるくらいススキを集めて帰路に着いた。
「ど~も、今日もお世話になります。」
「ふむ、来おったか。そろそろ次の段階に進めそうかの?」
「そうなるといいんですが、なんかしっくりこないんですよね」
「そうさのぅ、今日は呼吸を意識してみる事じゃ」
「呼吸ですか?」
「うむ、これ以上は自分で考えるのじゃ」
呼吸か、どういう事だろ?
ん~ん、呼吸、コキュウ、こきゅう、ヒッヒッフーは違うし、ヨガ的な腹式呼吸?
あとは、深呼吸?…分からん。
取りあえず、深呼吸でもしていつもより深い集中を心掛けてみよう。
目を閉じて大きく息を吸って、目の前の丸太を斬ることだけ意識を研ぎ澄ませていく。
「はっ!!」
最大限まで高まった集中と共にススキを振るうが、結果は変わらず丸太の皮を少し切った程度にすぎなかった。
「まだまだにゃのだ」
「なぁデケ、何が駄目だと思う?」
「ソレを見付けるのが、あんさんの修行にゃ」
「そうじゃぞ、武の道に近道無しじゃ」
そう言いながら、おじいさんは今日もサツマイモを持って現れた。
ダメになったススキの中にサツマイモを放り込み火をつけるとデケを呼ぶ。
すっかり定位置となった膝の上にデケが乗り、喉を撫でられながら気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らすとご主人様は僕なのにと少し嫉妬の炎が燻りだす。
駄目だダメだ、多分これも精神集中の一環なんだと自分に言い聞かせて丸太に向かい2人を見ないようにする。
それから一時間ほどたったところで、焼き芋のいい匂いが後ろから漂ってきたので休憩を挟むことにした。
「どうですかね、僕って見込み有りますかね?」
「ふむ、一週間やそこらで何かを掴めるほど武の道は平坦では無い。
まぁ稀にそういう奴もいるが、お主はそのタイプではないな。
そもそもまだ見込みが、どうと言う段階でもない。」
「そうですか」
少し弱気になってそんな発言をしてしまった。
おじいさんは、いつもより真面目な顔をしてそんな事を言うとすぐに焼き芋に齧り付きハフハフ言いながら「まぁ何とかなるだろう」と言ってくれた。
「そうにゃ、あんさんは道を歩き始めたばかりにゃ。
少し歩いただけで何かを得ようなんて烏滸がましいにもほどがあるにゃ」
「む~デケには言われたくないな」
「にゃにー」
焼き芋を食べすぎてパンパンのお腹を上に苦しそうに唸っていたデケがそんなことを言うもんだからついついからかってしまった。
ムキになってネコパンチを繰り出すデケをあしらいながらそのあいくるしい姿におじいさんと2人つい笑ってしまった。
そうして休憩を過ごした後は、修行再開だ。
しかし今までと同じようにやっていては、次のステップへの到達は難しいと言うのは分かり切っているので工夫が必要だ。
キーワードは「考えすぎ」と「呼吸」だ。
「考えすぎ」については、この「斬る」ことで頭の中をいっぱいにすること自体、ある意味考えすぎているのかもしれない。
「呼吸」については、さっぱりだ。
対モンスターなら相手の呼吸を意識してなんてあるかもしれないが、今の相手は丸太だ。
其れともこの丸太にも呼吸が有るんだろうか?
丸太になる前は、植物だから当然呼吸はしていただろうが今はどうだろう。
ん!
そういえば、何かの本でまき割りはただ力任せにやるのではなく木の繊維の流れなどを読むことが重要と言うのが有った気がする。
そう考えると、今やっているのは丸太を横に斬ろうとしているので繊維に対して直角に入っていると思う。
おじいさんが手本として見せてくれたのも上段からの振り下ろしで縦に割っていた気がする。
もしかして呼吸を意識すると言うのはそう言う事か?
そうと決まれば物は試しだ。
ススキを上段に構えて、集中を高めて行く。
最大限に高まったと同時にススキを一気に振り下ろす。
丸太を確認するとススキの穂先が数センチくらい食い込んで千切れていた。
今までの皮を斬っていたような感じではなく確かに丸太本体にススキが切れ目を入れていたが、よく見ると繊維の流れとのズレがある様だ。
そのズレたところでススキが千切れてしまっているようだ。
如何やらススキの強度で両断するためには、繊維の流れと一部の狂いもなく振り抜かねばならないようだ。
しかしこの修行の光明が見えた気がする。
先ずは、丸太をしっかりと観察する。
そして繊維の流れのままにススキを振るえるようにイメージを固めて振り下ろす。
擦れからススキを100本ほどダメにしてその時が訪れた。
はっ!!
ススキを完全に振り切った感触が有り、思わず確認すると穂先に至るまでまったく痛みが無かった。
その確認を終えると同時にゆっくりと左右に分かれながら倒れる丸太を見て
「うぉぉぉぉぉ!やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
思わず大きな声で叫んでしまった。
「ふむ、70点。
合格じゃ。」
「え?70点ですか?」
「そうじゃ、後はその観察する時間を一瞬で済ませることが出来るようになれば100点じゃ」
「そうにゃ、丸太と違ってモンスターは待ってくれにゃいのにゃ」
「それもそうだな」
「それでは、明日からは第二段階に入る出の。
楽しみにしておくとよい。」
「ありがとうございます。」
おじいさんに礼を言って、その日はログアウトした。
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ヨウ
ライフスタイル コスト7
≪魔王20≫
装備スキル 3/3
≪孤軍奮闘75≫≪武運34≫≪空間把握38≫
控えスキル
≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶12≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術15≫≪属性付加62≫
言語スキル
≪イデア語≫
商業ランク D
称号
【グラッジ草原の覇者】
【ヘイゼン沼地の覇者】
【トレント症を克服させし者】
【魔神?のご主人様】
【天心剣刀流・入門】
同行者
【デケ】
お読みいただきありがとうございます。
感想に有りましたソロソロについて等、私の日本語技術が乏しいせいで読みにくい部分が多々あるようなので出来るだけ修正していく予定です。
設定などをいじるようなことはないので読み直さないと話が分からないみたいな事には成らない筈です。




