表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第四章 新しい力

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/56

1月3日

2:30


はぁぁぁぁぁあっ!!ポキッ!


ダメか。


「あんさんダメダメですやん」

「うるさいぞ、デケ。

 とゆうか、ネコなら語尾にはニャと付けろよ」

「な、何ですかその言い草。

 それに私は、ネコじゃないとあれほど言い聞かせたのに!」

「いや、どう見てもネコだろ」

「ふん!もういいですニャ」

「お!ニャって言ったな」

「これは違うですニャ」

「ほら、また言ったぞ」

「ふぬぬぬぬぬ!」


デケが縁側で悶えているのを尻目にもう一度、目の前の丸太に集中していく。


事の始まりは、ランク入れ替え戦で見た【剣聖】ケルザードが刀を使っていたことからだ。

その圧倒的強さを目の当たりにして、刀の扱いを教えてもらいにコロシアムの天辺にある剣聖の間へ押しかけたのだが、当然のごとく門前払いを喰らってしまった。


ここに入りたければ、コロシアムランクSS以上になって来い!だそうだ。


現在のランクはBなので、順調に勝ち上がっても3ケ月は掛かってしまうのだ。

そんなにここに留まる予定もないので、別の方法を探していたところ道場と言うものを見付けたのだ。

何でも、剣聖都市ソーディアには様々な武器の扱いを教えてくれる道場と言うところが有るのだ。

各道場では、○○流などと言う流派を掲げており得意とする武器が、2~3種類ほど決まっていて、同じ武器でも流派によって扱い方に違いが出てくるそうだ。


そんなこんなで、刀を使う道場を探してみた所3つほど発見することが出来た。


1つ目は、ソーディア流剣刀術と言う剣聖都市の名前を冠するソーディア流の一つで、刃が付くものなら何でも教えると言う間口の広さで、かなりの入門者数を誇っていた。

仮入門では行ってみたのだが、何というか今までの癖が邪魔をしてどうにも合わないと感じたので早々に退散した。


2つ目は、ガルスール流剣刀術と言う道場だ。

ソーディア流と双璧をなす、メジャーな流派ではあるのだが、そこは何というか狂気に満ちていた。

道場と言うか、広い庭に太い丸太が等間隔に突き刺さっていて門下生たちは、一心不乱に大きな声を上げながら、各々が得意とするであろう種類の木刀を何度も何度も叩きつけていた。

扉を開けると一斉に、血走った目がこちらを値踏みするかのような眼差しを向けてきた。

背筋がゾクっとしたので、扉を閉めて退散した。

ちょっと出来心でガルスール流の他の武器に関しても覗いてみたのだが、何処も丸太相手に武器を叩きつけると言うのは変わらなかった。


そうして、探し出してから3日が経った頃、ようやく見つけたのが天心剣刀流と言う道場だった。

ここを見付けたのは、偶然だった。

他の流派が無いかと思いソーディアを一通り周っても大した収穫もなく、カル君の祝勝会で使った飲み屋でくだを巻くこと2日間、隣でよく飲んでいるお爺さんとデケの話で意気投合して飲み明かした後、「酔いがさめたらここに来い」と一枚の紙切れを渡された。

紙に書かれた場所には、そこだけ世界観が違うんじゃないかと思うくらい和風の屋敷が一軒あった。

ノックをして門をくぐるとおじいさんが立っていた。


「お!来たか」

「どうも、昨夜以来ですね」

「そうじゃの、まぁ立ち話もなんじゃ、付いて来い」


そう言って家の中へと入っていくおじいさんについていくと、居間に案内された。

このゲームで初めて畳の匂いを嗅いだ。


「これが珍しいか?」


そう言って足で畳を指すおじいさん。

どうやら鼻をヒクヒクさせていたのがばれたらしい。


「いえ、いい匂いだなと思いまして」

「そうかそうか」

「それで、私はどうしてここに呼ばれたのでしょうか?」

「まぁ、これでも飲んでゆっくり話そうか」


そう言っておじいさんは、お茶の入った湯呑を差し出した。

お茶は美味しかった。

お茶の美味さや今度領地内で茶葉の栽培とかしてみたい、なんて思いに気を取られながらもおじいさんの話を聞いていると、如何やらおじいさんは天心剣刀流の開祖なのだそうだが、門下生が居ないそうで話し相手半分くらいで入門しないか?と言うお誘いであった。

これに二つ返事でOKしてしまい、冒頭の訓練風景へと戻るのであった。


手には、ススキのような草を持ち【一閃】を放つときのように構えて丸太を斬るイメージを高めて行く。


初日の修行内容は、ススキで丸太を斬ると言うものだ。

おじいさんは簡単に説明した後、実際に斬って見せススキを僕に手渡すと家の中へと入っていった。


丸太を相手にススキで切り刻むのは、かなり難しい。

まずススキが軽すぎて振ってもあまり力が加わっている気がしなし、しかも早く振りすぎると穂の空気抵抗で丸太に当たる前に折れてしまうのだ。

それでも、実際にお爺さんは僕が振り抜く以上の速さでススキを振り丸太を切断していた。


一心不乱に丸太に向けてススキを振ること3時間、後ろには折れたススキが何故か消えずに溜まっている。


「むずかしいか?」


振り向くと奥の方からサツマイモの様なものを持っておじいさんがやって来た。


「はい、難しいですね。今まで使っていた技術でいろいろ試してみたのですが、ススキの山を築くばかりです。」

「そのようじゃな」


そう言いながらおじいさんは、持っていたサツマイモをススキの中に入れて火をつけた。


「さ、続けてくれ」


おじいさんはそう言うとデケを膝の上に乗せて縁側に座り、長い鉄の棒で火の番を始めた。


はぁぁぁぁぁあっ!!ポキッ!


「ふむ、30点と言った所かの」

「30点ですか、何処が駄目なんですかね?」

「そうさの、考えすぎと言った所かの。それ以上は自分で考えるのじゃ」


ん~?

考えすぎだから考えろ?

何だそれ?なぞかけの一種か?


「ほれ、手が止まっとるぞ! 焼き芋の火が消えてしまうぞい」

「そうですぞ、あんさんさっさとススキをくべて下さいな」


なにを~折れる事前提のその言い草。

ムキになって振れば振るほど折れるススキ。

考えすぎと言うことは、どういう事なのだろうか?

【一閃】を放つときのイメージに無駄な部分があると言う事なのだろうか?


えーっと、先ずは今までのイメージの流れは、

1.相手のどの部分を攻撃するか決める。

2.振り抜く角度を決める。

3.切断出来ると念じて放つ

と言った感じだ。

邪魔な部分ってどこだ?

んー、この際相手は動かないんだし、1.2は省いてみようかな。

その代り3を今まで以上に強力にしてみよう。


俺はやれる!切断する!斬る斬る斬る斬る斬る斬るキル!

【一閃】!


大きく踏み込み、ススキを振るう。

ススキは折れることなく手の中にあるが、丸太はどうなった?

丸太を確認すると皮の部分に刃物で切ったような傷がついていた。


「ふむ、45点じゃ。

 イモが焼けたからお主も食べるとよい」


そう言って、サツマイモを棒に挿して渡された。


「美味しいですね」

「あんさん、わしにも一口くださいな」

「語尾にニャってつけたらな」

「意地悪だニャ」


恥ずかしそうにするデケをおじいさんとひとしきり笑った後、焼き芋を一欠けらデケの前においてやった。

食べ終わり修行再開するが、ススキが無くなってしまったので今日は終わりということになり、明日からはススキを刈ってきてから始める様にと、生えている場所を教えてもらった。


おじいさんにお礼を言って道場を後にすると思いの補遺か疲れていたことを実感したのでその日はログアウトすることにした。


_____________________________________

ヨウ

ライフスタイル コスト7

 ≪魔王20≫

装備スキル 3/3

 ≪孤軍奮闘73≫≪武運33≫≪空間把握33≫

控えスキル

 ≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶12≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術15≫≪属性付加62≫

言語スキル

 ≪イデア語≫

商業ランク D

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】

 【トレント症を克服させし者】

 【魔神?のご主人様】

 【天心剣刀流・入門】

同行者

 【デケ】

お読みいただきありがとうございます。

流派に関しては、スキルではなく称号での管理としてみました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ