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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第三章 広がる世界

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43/56

12月31日

10万pv突破しました。

今後ともよろしくお願いします

19:00

ログインしました。


次の日、剣聖都市ソーディアには渓谷から落ちることなく到着しました。

町は、大きな闘技場が町の中心にそびえ立ちそれを囲む様に円形状に建物が並ぶ街並みは中々に壮観なものだった。


ソーディアでは、闘技場に登録することでコロシアムランクと言うモノが貰える。

コロシアムランクはF~SSSまであり、ランクに見合った大会への参加が出来たり、町の中でのサービスなんかにも差が出来てくるそうだ。

冒険者ギルドと違い登録を拒まれることは無かったので取りあえず登録をしてみた。


最初は、皆Fランクから始まるのかと思ったが、余りにも能力差が有ると見る側としては面白くないと言う理由から最初に試験が有った。

試験内容は、闘技場内でのモンスターとの戦闘で、アイテムの使用不可と言う制限の元、1対1でモンスターと戦い倒すと次のモンスターが現れてどこまで倒せるかと言うモノだったのだが、ゴブリンから始まり様々なモンスターが順番に現れた。


連戦途中に回復できないと言うこともあり序盤に飛ばしすぎると高位のランクは望めないと助言をもらったが、温存しすぎて倒せなければ下位のランクになってしまうなど闘技場内での独特な立ち回りを要求された。

それでも何とかBランクでスタートできるところまでは頑張れた。


Bランクの相手は、ダンジョンのボスクラスで今までも何体かソロで倒してきたのでどうにか出来たが、そこでガス欠になってしまい次の戦闘はボロボロだった。


今は、毎月の月末に有るランク入れ替え戦と言う大会の観客席にいる。

入れ替え戦と言うのは、一月を通して稼いだコロシアムポイントで各ランク毎の順位を付けて、各ランクの一位とその一つ上のランクの最下位が進退をかけて戦うと言う一番盛り上がる大会だそうだ。


登録はしたが、闘技場でまだ戦ったことは無かったので、自分のランクにどの程度の実力者がそろっているのかと言う偵察も兼ねて観戦と言った所だろうか?


登録者の中には、プレイヤーだけでなくこちらの住人も数多くいてそれぞれ独自の戦闘方法を取るのでスキル構成の研究にも役立っていたりもする。

そしてSSSランクの一位には町の名前にもある【剣聖】と言う称号と町の統治権が与えられる。


今の剣聖は、もちろんこちらの住人であり

「その強さはもはやチートだ。統治権をプレイヤーに与える気がない」

と観戦したほとんどのプレイヤーは思ったそうだ。



そうそう話は変わるが、使い魔の卵はてっきり次の日生まれるのかと思っていたが、如何やら説明文に有った肌身離さず持ち歩くと言うのは、ログイン時間のみをカウントする様で今日までかかってしまった。

それでもあと5分ほどで生まれてくる。

中身は残念な自称魔神になってしまったが、果たしてどんな使い魔が生まれてくるのだろうか?

今からワクワクが止まらない。


「これよりランク入れ替え戦を開催する!

 己の剣に恥じないよう全力で戦い抜く様に!」


剣聖が闘技場の壇上で開会の宣言をすると


「「ウォォォォォォォォ!!!」」


と地鳴りのような歓声が場内を包み込む。

先ずは、Eランクの入れ替え戦のようだ。

Fランク一位のプレイヤーとEランク最下位のNPCが向かい合う。

Fランクの彼は、中学生くらいだろうか?

幼さの残る顔に鎧に着られているようなまだまだ初心者と言った見た目だった、とてもランクのトップになったようには見えない。

対するEランクは少ししょぼくれたオッサンと言う見た目ではあるが、ここで幾度となく戦ってきた経験が顔に染みついているかのようだった。


これは、昇格は無いかなと誰もが思っていたのだが、勝負はものの数秒で片が付いた。

開始と同時に駆け出した少年を何故か見失った様子の対戦者はそれでも経験を活かして迎撃の体勢を取る。

しかしあっという間に背中に回り込まれ首筋に剣を当てられて降参したのだった。


観客席から見ていると普通に距離を詰めただけのように見えたが、何か特殊なスキルの発動でもあったのかもしれない。

でなければ、あそこまで一方的な試合展開にはならなかっただろう。


そんな考察をしていると手の中で何かが震えた。

見ると卵にヒビが入っている。

如何やら生まれるようだ。

『思ったより硬い』そんな声が卵から聞こえるがここで手伝ったりはしない。

徐々にヒビが広がり遂に生まれた。


その見た目は、


「…ネコ?」

『猫ちゃいます。見てくださいこの立派な羽を!』


三毛猫の背中には申し訳程度のコウモリようなの羽が生えていた。

何故に三毛猫?

しかも卵から猫が生まれてくるとか、…まぁファンタジーだしいいか。

取りあえず、中身は置いといてクリクリとした目には癒し効果があると思う。


「名前はあるのか?」

『あんさんが、決めてくさるんじゃないんで?』

「そういうもんか?」

『そういうもんです!』


どうしよう、ネーミングセンスなんて持ち合わせて居ない。

三毛猫だからミケなんてそのまんますぎるし何かいいアイデア降って来い!


…。

…………。

…………………!

「デケってのはどうだ?」

『デケですか?』

「ああ、デスターのデと三毛猫のケでデケだ。」

『なんか微妙ですね』

「いいや、デケに決定だ。あんまり長いと呼びにくいし意外と響きがいい」

『…そうですか』


頭を垂れて無理やり納得する様なそぶりを見せるデケは、中身はともかく中々にかわいい奴だ。

首をつまんで膝の上に乗せて観戦へと戻った。


そんなやり取りをしている内に気が付けばCランクの試合が始まっていた。

どちらも歴戦の戦士と言った風貌で中々見ごたえが有った。

盾と片手剣を持つ堅実な戦法対攻撃は最大の防御とばかりに大剣を荒々しく振り回す戦法だ。

最初は、大剣の方が押しているように見えたのだが、徐々に形勢は逆転していった。


スタミナの切れてきた大剣使いは、焦りで徐々に動きが大振りになていた。

最後は、大剣が盾の上をすべるように地面に突き刺さるとその隙をついて一気に首元へ片手剣が迫りあっけなく決着がついた。


次は、お待ちかねのBランクが始まる。

選手の入場と共に会場のボルテージも一気に上がり異様な雰囲気の中、選手の紹介が有った。


「それではまずは、挑戦者からの紹介だ!

 Cランクを破竹の勢いで駆けあがりトップにたどり着いた期待の新星!

 双刀使いのカルーーー!!!!!」


お、カル君だ。

こっち来てたんだ。


「対するはBランク入れ替え戦の常連!

 あえてランク最下位になり挑戦者を倒すことに執念を燃やすこの男!

 【Bランクの壁】ことグスタフだ!」


観客席からはグスタフの登場と共にブーイングの嵐が巻き起こる。

グスタフは、下卑た笑顔を観客席に向けて大げさなお辞儀をする。

双方が、武器を構えて開始の合図を待つ。


開始と共にカル君が、飛び出し距離を詰めると左右から首筋目掛けて攻撃を加える。

それを、上手く捌いて後方へステップで距離を取るグスタフ。

グスタフは、片手剣を持っているが盾は使わないスタイルのようだ。

両手に付けた少し大きめのガントレットを盾のように使い、武器を持ち変えたり、時に自らの武器を投げつけ徒手空拳にて攻撃したりとトリッキーな動きを見せるグスタフに徐々に追い込まれていくカル君。


悔しそうな顔を浮かべた後、一旦距離を取ったカル君が何かを呟いた。

それが聞こえたグスタフは、ニヤニヤしながら


「は?切り札!

 そんなモノがあるなら使ってみろよ、クズが!」


そうグスタフが叫んだ瞬間、カル君の体からオーラの様なものが放たれ始める。

そこからは一方的だった。

先程まで受け止められていたカル君の攻撃をグスタフは必死になって避けている。

もはやさっきまでの笑顔はない、恐怖に顔をひきつらせて驚愕の表情を浮かべている。


数度の攻防の後、一瞬カル君の姿を見失った。

観客席から見ているのに見失うほどの速度で動いたと言うのだろうか?

気付くとグスタフの正面に居たはずが、かなり後方で武器を鞘に納めるところだった。

納めると同時にグスタフの装備に亀裂が入りパンツを残して砕け散った。


「勝者!双刀使いのカル!

 本日よりBランクへの昇格を認める!」


その宣言と共に割れんばかりの歓声が響いた。

その後のA、S、SS、SSSとランク戦が続きNPC同士壮絶なバトルが繰り広げられた。

はっきり言って、次元が違った。

ゲームで半年間、様々な戦闘をしてきたがあの域に達しているとは到底思えない。

いつかプレイヤーがたどり着く日は来るのか?そんな感想が浮かぶほどの衝撃が有った。


そして、エキシビジョンとして現【剣聖】ケルザードが闘技場内に現れた。

対するは、ワイバーン。

以前火山フィールドで出会ったモノよりは小ぶりだが、その見た目に恐怖がよみがえる。


ワイバーンは大きな咆哮を上げて剣聖を威嚇した後、口から炎のブレスを吐き出した。

剣聖はそこで初めて武器を手にするとブレス目掛けて上段から振り降ろした。


僕はその光景に釘付けになった。

剣聖が使っていたのは、間違いなく刀だ。

神々しさすら放つ刀身から放たれた衝撃波は、アッサリとブレスを切り裂くばかりかワイバーンすらも頭から真っ二つにしてしまった。

確かにチートだ。

SSSランクの入れ替え戦が子供の遊びに見えるほど剣聖の強さは次元が違うように感じられた。



そうして大会の観戦は終わり今は、Bランクから使うことが出来るようになる個室付の飲食店でカル君の祝勝会をしている。


「Bランク昇格おめでとう!カンパーイ!」

「ありがとうございます。」


グラスを空けて食事に手を付ける。

イベントから1週間ほどしか経っていないがお互いの近況報告をする。


「使い魔ですか?」

「ああ、今日生まれたデケっていうんだ。ほら、挨拶しろ」


そう言って膝の上のデケを紹介すると


『よろしく、カル殿』

「しゃ、喋りましたよ?」

「ああ、いろいろあってこんな感じになってしまったんだ」

『なってしまったとは失礼な!』

「すまんすまん」


それから一時間ほど話し込んだと解散となった。

時間を見ると現実時間では23時を迎えていた思ったより観戦時間が長かったようだ。

ログアウトしてお湯を沸かす。

カップ麺のソバを食べながら年越し番組を見ているといつの間にか眠ってしまっていた。


_____________________________________

ヨウ

ライフスタイル コスト7

 ≪魔王20≫

装備スキル 3/3

 ≪孤軍奮闘73≫≪武運33≫≪空間把握33≫

控えスキル

 ≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶12≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術15≫≪属性付加62≫

言語スキル

 ≪イデア語≫

商業ランク D

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】

 【トレント症を克服させし者】

 【魔神?のご主人様】

同行者

 【デケ】


ネコになりました。

ペット系の名前を考えるのって難しいです。

あんまり長いのも呼びにくいし、モンスターや人の名前は響きや字面で適当に作れるんですが。


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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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