12月26日・後編
「はぁ、なんでこんな事になったんだろう」
ため息をつきながら手の中の卵を見つめる。
目線の先には、イベントで手に入れた【使い魔の卵】だったもが有った。
登場シーンに割り込んで倒すのを失敗した後、現れたのはトカゲのような頭を持つ巨大な骸骨【魔神デスター】と言うボスモンスターだった。
魔神と言う割には、今まで遭遇したドラゴンと比べると格落ちな感じがしたがそれでもボスと言うことでそれなりに苦戦しながら、HPを5割まで減らしたところで相手に大きな動きが有った。
『なかなかやる様だが、これで終わりだ。』
その言葉と共に魔神を中心に地面が闇に覆われて行き、中からおびただしい数の骸骨が這い出してきたのだ
さながらホラー映画のような光景にぞっとした。
普通は、やっと半分まで減らしたと言うのに手下が追加と言うのは、いやらしい行動だと思うのだが≪孤軍奮闘≫の効果により相手の物量を上回るほどの能力上昇を感じられた。
迫りくる無数の骸骨たちの中心目掛けて飛び込み渾身の【ヘビースタンプ】を叩き込む。
ズズゥゥゥゥゥン!!と大きな地響きとともに周りの骸骨へアーツの効果である振動が広がっていく。
近くに居たモノはそれだけで粉々になって崩れ、遠くに居たモノも関節などの脆い部分が崩れてまともに動けるモノは居なくなった。
『なっ!』
魔神が骸骨の面でも分かるくらいの驚愕の表情と共にそんな声を上げたのが聞こえた。
なまじ人間臭いAIが積んであるとは思っていたが、戦闘中に隙を見せるボスモンスターはどうかと思いながらも一気に魔神の右足に迫ると脛に向けて思いっきりハンマーを叩きつける。
その一撃によりバランスを崩した魔神は、頭から地面に倒れ込んだ。
倒れてくる魔神を躱しつつ頭部分が来るであろう場所へと移動するとハンマーを上段で振りかぶる。
『ちょっ!ちょっと待って下さい』
行き成り敬語に変わった口調に驚きながらそれでも振り下ろす速度は変わらない。
いくらステータスが高くても急には行動キャンセルなんてできないのだ。
ハンマーが頭蓋骨にめり込むこのまま引き抜けばそのまま壊れてしまいそうなので一応話しかけてみる。
今考えるとそのまま引き抜くべきでした。
「なんだ?」
『振り下ろしてから答えますか?普通』
「ずいぶん口調が変わったな、最初の感じはどうした」
『あんさんに今更取り繕ってもしょうがないんでこのまま話させてもらいます』
「それで、何か用か?」
『いやー、あんさん強いですねぇ。
ここはひとつ私と契約しませんか?』
「契約?なんだそれは?」
『実は私ここに封印されてるのでここから出ることが出来ないんですが、契約してもらえればあなたについていくことが出来ます。』
「それってこっちにメリット無くないか?」
『へ?なに言ってんですか!
私が付いていくことがメリット以外の何なんですか?』
「いや、それデメリットだから」
『なっ!』
そんな感じで行き成りくだけた感じになった魔神が付いてくると言ってきて、迷惑だからと断ったのだがムキになった魔神が
『契約じゃなくて従僕でいいんで、いやもういっそその使い魔の卵に入らせてもらいます』
の言葉と共に無理やり懐の卵に取りついてしまったのだ。
そして冒頭に戻る。
手の中には【使い魔の卵(魔神入り)】と名前が変わってしまった卵がある。
「はぁ、なんでこんな事になったんだろう」
『そんな事言わないで少しは歓迎してくれてもいいんですよ』
突然卵から魔神の声が聞こえてきた。
「話せたのか」
『はいな、魔神の力は失われておりませんぜ
ささ新しい命を歓迎してくだせぇ』
「無理だ!楽しみにしてた折角の卵がこんな中身になってしまうなんで運営に文句言ってやる」
『ウンエイってなんです?ってかこんな中身ってひどくないです?』
「酷くない!で見た目はあんな感じになるのか?」
そう言って先ほどまで戦っていた魔神を指さす。
『いえいえ、まだ形は決まっていないのであんさんの自由になりまっせ』
「そうかって、その口調はそのままなのか?」
『それはもう、私のアイデンティティてやつです』
「なんか違う気がするが、もうなったものは仕方がないか」
『そうそう、世の中楽しんだもの勝ちなのです』
そんなやり取りの後、眠くなったと呟いた後喋らなくなった卵を懐に戻してダンジョンを後にした。
今日は疲れたので一旦領地へ戻り明日改めて剣聖都市ソーディアを目指すことにしよう。
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ヨウ
ライフスタイル コスト7
≪魔王20≫
装備スキル 3/3
≪孤軍奮闘72≫≪武運33≫≪空間把握32≫
控えスキル
≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶12≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術15≫≪属性付加62≫
言語スキル
≪イデア語≫
商業ランク D
称号
【グラッジ草原の覇者】
【ヘイゼン沼地の覇者】
【トレント症を克服させし者】
【魔神?のご主人様】
短くてすいません。
取りあえず年末で3章を区切る予定です。




