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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第三章 広がる世界

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38/56

12月24日・前編

遅くなりました。

長くなりそうだったので取りあえず前編として分割してみました。

15:30

ウォォォォォォォォ!!!

雪原を埋め尽くすほどの大量のサンタ軍団から村を守る為、プレイヤーが一丸となって戦闘を繰り広げ雪原に怒号と魔法の爆音等が響き渡ている。


事の始まりは、年末で休みになり12月24日も特に予定もない為、昼からゲームにログインしたところ転移門からサンタの格好をした子供が現れたことだった。

その子供が言うには、サンタクルシマースキングとクイーンと呼ばれる夫婦が手下を連れてサンタの村を乗っ取る為に攻めてきたから助けてほしいと言うモノだった。

それは、【願いのかけら】を集めるイベント最終日に発生した大規模戦闘に発展した。

しかもこの結果次第で、交換できるアイテムも変わってくると言うことで何としてもサンタの村を守り切らなければ、この一ヶ月の苦労が水の泡となってしまう可能性も出てきたので多くの戦闘系プレイヤーと支援のための生産系プレイヤーが参加することになった。

サンタの村は、雪に覆われた小さな村で中心に飾り付けられた大きなモミの木が生えていた。

村の門をくぐり雪原へと足を踏み出し、【イーグルアイ】で相手の様子を伺うとこちらへ向かってくるサンタクルシマースの一団を発見した。

あの距離だと、ここに到達するまで2時間と言った所だろうか?

一際大きな2体が指揮をするその一団は、サンタクルシマースだけでも100体以上は居るようでソリとトナカイを含めると数えるのも嫌になるほどだ。

他にも来ていたプレイヤーと情報交換を済ませて一度作戦を立てるためモミの木前の広場に集まった。

集まったプレイヤーの中に、クレアさんとカル君の姿を発見した。

2人とも防具を武器に合わせて新調したみたいで和テイストの仕様に変わっていて人の事は言えないがゲームの世界観との違和感が半端ない。

カル君は、濃い青色の袴に浪人風の格好で腰に刀を2本差しで如何にも武士って感じだし、クレアさんは武器に合わせたのか白を基調とした羽織袴に髪をポニーテールに結って剣術道場のお嬢様みたいな雰囲気だ。


「久しぶり、カル君にクレアさん二人とも来てたんだ」

「はい、折角のイベント戦に参加しない手はないですよ」

「ええ、最後にもうひと稼ぎさせていただくわ」

「そういえば、刀の調子はどう?」

「はい、いい感じですよやっと手に馴染んできたと言うか武器の真価を発揮できるようになってきた気がします。」

「私もようやくスキルに頼らない武器の扱いに慣れてきました。」

カル君の場合は、≪二刀流≫が多少は武器の扱いを補助してくれるようだが、クレアさんの場合は、僕と同じく一切のスキル補助が無いのだが大剣からのコンバートの為どうしても以前の感覚が邪魔してしまう事があるそうなので苦戦しているそうだ。


「そう言えばヨウさんはパーティどうするんですか?」

「んーいつもソロで戦ってるから今回もそんな感じかな」

「よかったら一緒に戦いませんか?」

「それがいいですわ、そうしましょうよ、ね」

「それじゃ折角だからご一緒させてもらおうかな。

でも一緒のパーティの人に話さずに決めても大丈夫なの?」

「はい、その…僕もソロかクレアさんしかパーティ組む人が居ないんです」

「実は私も…」

如何やら、武器スキルに対応していない武器を使っていると言うことで野良パーティは組みずらいらしく、固定のメンバーも居ないそうだ。

「そこまで無理して刀を使わなくてもいいんじゃない?」

「いえ、これはもう意地でも刀を使ってトッププレイヤーになって見せます。」

「私もですわ」

それでも二人は、わざわざ僕の造った刀を使ってくれると言うことが嬉しいので可能な限りサポートはしていくと心に決めた。


そうして3人でパーティを組んで作戦会議で決まった遊撃グループに入ることにした。

遊撃グループは、迎撃グループが敵の一団を足止めしている内に各個撃破を目的に敵陣に切り込むことになるようで正攻法で敵の足止めが出来ない攻撃力の高めの色物プレイヤーの多くが振り分けられた。

多分こちらの戦果はあまり期待されていないようだが、上手く立ち回れば一番稼げると思うしこの3人ならそうそう後れを取ることもないだろう。


迎撃グループが隊列を組んでサンタ軍団目掛けて前進していく。

程なくして迎撃グループとサンタ軍団の先頭が接触した。

各パーティのタンクが盾を構えて一列に並び相手の前進を止めて後ろから、魔法と矢が敵に降り注ぐ。

少し遅れて遊撃グループは、散会して敵陣に突入する。

ある者は隊列の横側から回り込み端から数を減らしていき、またある者は隠蔽系のスキルを使用して姿を消し正面から敵陣へと突入していく。

「さてと、僕らはどうします?ヨウさん」

「んーここは、やっぱりボス狙いがいいと思うんだ」

そう言った瞬間、顔が2人とも引きつった。

「え…、本隊に任せないんですか?」

「うん、ここで刀使いが活躍してもっと刀の需要を上げて行こうと思います」

「えーっと、それってこのイベントと関係ないですよね」

「無いけど、こんなにたくさんのプレイヤーが居るところで宣伝しない手はないよね」

「ヨウさんの中ではもう決定事項なんですね」

「そうだけど、いや?」

「折角なんでお供しますよ」

「そうですね」

とは言え、二人のステータスではきついかもしれない。

パーティチャットで二人に話しかける。

『そう言えば二人は、≪孤軍奮闘≫ってスキル持ってる?』

『≪孤軍奮闘≫ですか?』

『ソロプレイが長いなら条件を満たしてるかもしれないから確認してみて、もし取得出来るならしちゃってメインに入れると戦闘が楽になると思うから』

『あ、有りました』

『私も』

『何ですか、この補正。こんなのもうチートですよ』

『まぁボッチ救済用のスキルだと思って広めないようにしてね』

『これが広まったらヤバそうですね』

『まぁ固定パーティでボス戦なんかやってると何の効果もないごみスキルと化すんだけどね』

『なるほど』

『この人数差なら上限一杯まで強化されるからかなり戦闘が楽になると思うけど急激に上がったステータスに振り回されないように気を付けてね』

『『準備できました』』

2人が此方に頷くとともにグンと力強くなったように感じる。

「じゃ行こうか」

「「はい」」


正面から、上がったステータスに任せてタンクを飛び越えトナカイを一刀の元に切り伏せて前方に居るサンタクルシマース目掛けて駆けだす。

両脇を二人に守られながら一直線に進みサンタクルシマースの首を撥ねる。

「まず一つ!」

「ちょ、早いですってヨウさん」

「大丈夫直ぐに慣れるから」

取りあえず後方から飛んでくる味方の攻撃が当たらないように射程外まで進みながらサンタたちを狩っていく。

流石に簡単にはボスの元には辿り着けず、大量のモンスター達に囲まれる。

この人数での強行突破にはやはり無理があった。

カル君たちには悪いことをしたなと死に戻りの覚悟をしながらそれでも足掻く。


ジリジリと追い込まれながらも敵の数を減らしていると敵の一角が吹き飛んだ。

「ガハハハハ、楽しそうなことしてんな!ヨウ」

吹き飛んだ先現れたのは、筋肉魔王ことガロンさんだ。

「ガロンさん、お久ぶ…ってそんな場合じゃないか」

「おう、ひと先ず近くの奴らを蹴散らすか」

イベント以来、戦っているところを見ていなかったが相変わらず?と言うか悪化していると言うべきなくらい戦闘力が違う。

武器を持たず素手でトナカイを掴んで振り回し周囲を一掃したかと思えば、サンタ目掛けて投げつける。

まるでボールを投げるように放たれたソレは物理法則を無視したような速度でサンタに激突し周囲を巻き込み相手の陣形を大きく削る。

「穴が出来た、このまま一気にボスまで行きます。」

「「はい」」

ガロンさんが加わり進行速度が2倍近く跳ね上がり遂に金色のサンタ服をまとったサンタクルシマースの2倍はあろうかと言う巨体のキングとクイーンの前にたどり着いた。


お読みいただきありがとうございました。

誤字脱字感想等ありましたらよろしくお願いいたします。

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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