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魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第三章 広がる世界

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35/56

12月17日

1:30

「あーっだめだ!!」

あれから2日間ほど自領地の工房に籠ってトレント症の薬を錬金術で作成しているのですが上手くいってません。

【マナクイゴケ】が錬金の過程で魔力と反応してしまい【マナクイゴケ(闇)】に変質してしまうのだ。

これは、錬金術スキルが取得属性魔法スキルと反応してしまう事から起きるようで、その属性のモノを作るときには重宝するのだがそうでない場合は、属性魔法スキルを外すことで無属性の魔力を使って錬成した方が良いそうなのだ。

しかし、≪魔王≫のライフスタイルは脱着不可の為、闇属性を控えにまわすことが出来ないその結果、マナクイゴケの変質してしまうのだ。


何か方法が無いかと生産系の情報サイトを閲覧した結果、素材アイテムから特定の成分を取り出す抽出という方法があることを見付けた。

コケのままだと魔力を吸収して成長してしまうが、成分だけなら大丈夫そうだ。

早速、抽出方法を試してみることにする。

抽出は、すり潰したり粉末にした素材を特定の液体で煮出したりなどと素材と抽出する成分によって違うので色々試さないと目的の成分を取り出すことが出来ない為とにかく根気がいる作業なんだそうだ。




一時間後

ダメでした。

上手くいかなかったので、サイトをよく読んでみたところ如何やらこの抽出と言う方法どちらかと言えば、≪薬剤≫に関するものだったようで≪錬金術≫と相性が悪いのだ、取りあえず水や油を使い色々な温度で抽出してみたのだが成分の抽出は成功しなかった。


気分転換に自領地を歩いていると≪薬剤≫持ちのモンスターを作ったことを思い出した。

早速薬屋へ行き、リーフに素材を渡し事情を説明する。

リーフは奥の工房に行き薬の作成に入るが、数分後少し項垂れて申し訳なさそうに此方に来たリーフの頭らしきところを撫でながら理由を確認したところ、どうやらスキルレベルが足りずに失敗したようだ。

そう言えば、作ったきり強化も新しい素材も特に渡していなかったのであまり成長できていないのかもしれない。

モンスター作成装置を取り出してリーフの強化をすることにした。

新しく手に入れた薬草類を各種とマナクイゴケ(竜種)も投入して強化を進めた結果

_____________________________________

ドラッグフェアリー・リーフ

 HP:B MP:B

 ATK:D DEF:D INT:B SPD:D DEX:B

 ≪ブレスC≫≪竜眼C≫≪薬剤B≫≪栽培C≫≪生産者の心得B≫≪言語B≫

 魔力コストB

_____________________________________

店主用モンスターとはもはや呼べるような者ではなくなってしまった。

以前の体内に薬草が浮かぶクリオネの様な形態から、背中には半透明の羽根を持ち、マナクイゴケ(竜種)の魔力からかマナイーター・ドラゴンの様な目と腰回りに一見スカートのように見える透明な鱗を持った女性の人型へと姿を変えた。

そして、≪言語≫がBになったことでちゃんとした声での意思の疎通が出来るようになった。

「マスター、リーフにこのような貴重な素材を使っていただいてありがとうございます。」

そう言ってニコッと笑うリーフの目からは、竜種特有の威圧感を感じられたが敵意は無いので何とかスルーした。

「ああ、気にするな。コレも新しい薬を作ってもらうためだからな」

「そうでしたね、先ほどのトレント症の薬をお作りすれば宜しかったでしょうか?」

「たのむ、出来れば完全に治るように改良できるようならしてみてくれ」

「わかりました、それでは少々お待ちください」

そう言って工房に引っこんでいくリーフを見送り店内の商品を物色してみる。

やはり、前線で使うには能力が足りない、最近薬屋の売り上げが落ちていた原因は訪れるプレイヤーの数が減っただけではなかったようだ。

10分ほどしてリーフが工房から出てきた、手には新しい薬が有るがどうにも顔色がすぐれない

「申し訳ございません、マスター」

「ん?どうしたんだ?」

「それが、新しい薬を作る為には原因となっているトレントの花粉が必要なのですが私には用意することが出来ません」

「そう言う事か、それなら俺が取ってくるからちょっと待っててもらえるかな」

「申し訳ございません、このようなことでマスターの手を煩わせてしまって」

「気にするな、俺の頼みなんだからこっちが素材を用意するのは当たり前だ」

「それでは此方をお持ちください」

そう言って、手渡された薬を見ると

_____________________________________

トレント症予防飴

トレント症の原因となる花粉が体内に入っても舐めるている間、無害化することの出来る飴玉。

但し、トレント症にかかっている場合はその効果が発生しない。

最大効果時間:60分

_____________________________________

「花粉は、空気中に舞っているものではなくトレントの花から直に採取してもらう必要があるのですが、高濃度の花粉の中ではマスターでもトレント症にかかる恐れがございます。

 その為、そちらの予防飴をお持ちになってください。」

如何やら、口ではあんなことを言っていながら最初から取りに行かせるつもりだったようだ。

「ああ、ありがとう。」

そうして、薬屋を後にしてアイビス経由でイデアに飛んだ。



町の中心にそびえる大きなトレント「聖樹さま」は体内がダンジョンと化していてそこに住むモンスターや薬草などの各種素材が町の経済を助け、魔法学校でも授業で使われたり結界を張ることで町の外からのモンスターの侵入を阻止したりとイデアになくてはならないモノとなっている。

ダンジョンに入る為には、冒険差ギルドの依頼で許可証をもらうか、入場料の50000Lを受付で払う必要がある。

残念ながらギルドへの入会は断られているので入場料を払って入ることにする。

入ったからには、元が取れるくらいの素材をゲットしたいが先ずは、花粉の採取をメインにダンジョン攻略を進めなければならないだろう。

花は、聖樹さまの上層あたりに有るのでそこまで登った上でダンジョンから外部に出る道を見付けなければならない、内部は思ったより花粉が少ない様だが安心は出来ないので取りあえず飴玉を口に頬張る。

この飴は、なめている間の効果と言う事なので飴を噛む癖のある僕は、注意しなければ効果時間が半減してしまいそうだ。

ダンジョンは、螺旋階段のようになっているようで決まった階層が有るのではなく奥に進むにつれて徐々に上へと昇っていくタイプのようで、大まかに下層・中層・上層と分けられていてモンスターも層が上がるにつれて強くなっていくようだ。


登り始めて2時間中層の中ほどまでやって来たと思う。

既に飴玉は5つ目だ。

普通に舐めていれば、60分持つそうなのだがふとした時に癖で噛んだり強敵との戦闘中なんかに気合を入れるために噛んでしまったり気が付けば受け取った飴も半分くらいになってしまった。

それでも、ソロソロ花の咲いている層まで上がって来たのであろう花粉の濃度が高いエリアが何か所かありそこでは、動くたびに花粉が地面から舞い上がり視界をふさぎモンスターを隠すというなんとも戦いにくい場所であった。

そして目の前には、大きめの扉だ。

下層から中層に上がるまですでに4つほど同じような扉を超えており、中にはボスモンスターが待ち構えているのだ。

この扉を超えるたびに、生息するモンスターの強さが上がっているのでゲートキーパーの役割を果たしているのだろう。

準備を整えて扉を開ける。

待ち構えていたのは、黒檀のような黒く光る素材で出来たゴーレムだった。

今までの扉は、その階層に出ていたモンスターとそのボスみたいな組み合わせだったので≪孤軍奮闘≫の効果もあって其れなりに倒すことが出来ていたのだが、1体のみの相手だとそう言ったステータスの上層が無いので厳しいモノになりがちなのだ。

「グロォォォォォォ!」

ゴーレムが重低音の唸りをあげて此方に迫ってくる。

木製のゴーレムは、金属製のモノより強度は劣るが素早いと言う特徴がある。

ドリルハンマーを取り出して、胴体部分に思いっきり叩きつける。

ハンマーの遠心力と自身の力でもゴーレムの突進を止めることは出来ずにハンマーの反動も相まって後方に飛ばされる。

ゴーレムの方も無傷とはいかなかったようで、腹部に少しヒビが入ったようだ。

ハンマーを持ち直して、ドリルを起動する。

ゴーレムの振り回す腕をかいくぐり、唸りをあげるドリルをヒビに目掛けて全力で打ち付ける。

ドリルは木片を散らしながら確実に進んでいく。

人間でいうおへその上あたりを体の半分くらいの深さまで削ったところで、ゴーレムの攻撃を避けて距離を取る。

ゴーレムは、唸り声を上げながらこちらを警戒しつつ、右腕で穴の開いたお腹の部分をさすっている。

そのしぐさが、少し人間ぽかったので笑いそうになったが、次の瞬間穴の開いていた部分の周囲から中心に向けて蔦の様なものが伸びて行き穴をふさぐと、少し歪なこぶのようなものが傷跡に残るだけとなった。

HPを見ると、殆ど減っていない様で別の攻略法を探す必要があるのかもしれない。



何度かドリルによって穴をあけているのだが、HPはあまり減っていない。

穴が埋まりこぶが出来たところは、それまでより硬くなっているようでドリルの刃が弾かれてしまう事もあるのだ。

それでも、1つ光明を見付けてはいる。

ソレは、こぶが出来た関節の動きが鈍っていると言うことだ。

これを、膝などの大きな間接に作ることが出来れば身動きを取ることが出来なくなりそうだ。


目的をダメージから関節への攻撃にシフトして20分ようやく足の関節が曲がらなくなって用でゴーレムは棒立ちになって腕を振り回すだけとなった。

かかと部分をすくうようにハンマーで打ち上げて仰向けに倒すと後は、脇部分にこぶを作り腕も動かなくなったところで頭を潰して何とか倒せました。

戦利品は【マジック・エボニー】という黒光りする木材だった。


扉を超えて次のフロアへと進む壁面には小さな窓の様なモノが有りそこから外を覗いてみると思ったよりも高くまで登っていたことに気が付いた。何本かの枝には花が咲いているようなので後はダンジョンの外側へと出ることが出来れば花粉の採取が出来そうだ。

そうして彷徨う事、30分遂に外側への出口を見つけた。

出口から延びる太い枝の先端には直径30cmほどの大きな花が咲いている。

花の形は、桜に似ているがここまで大きいと少し気持ち悪いくらいだ。

試験官を取り出して、雄しべに当てて花を揺らす。

花粉が一斉に辺りに舞ったが、試験管の中にも1cmほど溜まったので蓋をしてアイテムボックスにしまう。

後は帰るだけだボス部屋に戻り真ん中の魔法陣へと進む。

一瞬の浮遊感と共に視界が切り替わると入り口直ぐのフロアに到着した。


ダンジョンを後にして領地に戻る。

「リーフ取って来たよ」

「マスター!体の花粉は払ってから店内に入ってください。

 商品に影響が出ます。」

「ごめんなさい」

入り口越しに試験官を渡して体をはたくと思っていたより花粉が付いていたようで周りに花粉が舞う。

もうそろそろいいかなと思った所で、リーフが店から出てきた。

「マスター、完成しました。」

そう言って手渡されたのは小瓶に入った金平糖の様なものだった。

「これが?」

「はい。

 こちらが、トレント症完治薬になります。

 トレントの花粉から抽出した魔力で育てたマナクイゴケを……」

なんかリーフが強化によって思ったよりキャラが濃くなってしまったようで、薬の説明しているときの顔なんて恍惚としていたり、テンションが上がりすぎて早口でまくし立てられてイマイチ分からなかったが、取りあえずこの薬を飲めばトレント症が治ると言うことは分かった。

「であるからしてこの薬を…」

「じゃ、リーフありがと、行ってくるね?」

「え?ちょっとマスターまだ説明が終わってないですよ、ちょ…マス…」

話の途中ではあったが、かれこれ10分くらい薬について語っていたのでソロソロめんどくさくなったので強引に切り上げて孤児院に向かうとしよう。

この時間なら朝の仕事も終わって時間もあるはずだ。

孤児院の門の前に丁度院長がいたので挨拶と用件を伝える。

「どーも、院長先生。ベルに薬を持って来たんですけど」

「あら、ヨウさんもう完成したんですか?」

「はい、僕1人じゃ出来なかったんでうちの子に手伝ってもらいましたが」

「そうですか、それではついて来て下さい」

案内されたのは前回と同じく保健室、扉を開けるとベルとクリフがおしゃべりの最中だった。

「あれ、ヨウさん?」

「おう、クリフ元気にしてるか?」

「うん、今日はどうして…、もしかして!」

「ああ、薬が完成したから持ってきた。」

そう言って、薬の入った小瓶を取り出してベルへと渡す。

「一回一錠、症状が出なくなるまで朝に飲むそうだ」

「わぁ、なんだかおかしみたい。ありがとうヨウさん」

「お礼は治ってからな」

その後、リーフから聞いていた注意点を伝えて保健室を後にした。

何だかんだでモンスターと戦ったり忙しい日だったので、今日の所はこの辺りでログアウトすることにしよう。


_____________________________________

ヨウ

ライフスタイル コスト7

 ≪魔王18≫

装備スキル 3/3

 ≪孤軍奮闘68≫≪武運28≫≪空間把握25≫

控えスキル

 ≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶8≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術15≫≪属性付加61≫

言語スキル

 ≪イデア語≫

商業ランク D

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】

お読みいただきありがとうございました。

誤字脱字感想等ありましたらよろしくお願いします。

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YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
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