表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王さまのおしごと…迂闊な魔王はどこへ行く  作者: 溶ける男
第三章 広がる世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/56

12月15日

1:00

スカイさんら3人とは分かれて、イデアに戻ってきました。

最近は、【願いのかけら】を集めるため2時間ほどフィールドで狩りをした後、孤児院に行って本を読むと言うサイクルで活動中だ。

最初はログインするとすぐ孤児院へ向かっていたのだが、深夜に尋ねると言うのもどうかと言うことで夜が明けてからにしたのだ。

ゲーム内での6時頃は、丁度ゲーム内の住人が朝の支度に動き出す時間帯だ。

適当に朝市で食材を買って孤児院に入る。

「今日もよろしくお願いします。コレお土産です。」

「あら、ヨウさんいつもすいません」

院長先生とそんな話をして食材を渡した後は、図書室へ向かいイデア語で書かれた本に集中する。

今日は、錬金術関係のレポートを手に取った。

イデア語を覚えたことで、単語としては読めるようになったのだがどうも独特の言い回しのようなモノが有るらしく時々意味が分からないところがある。

それでも連日、目的をもって読み重ねて行くことで理解は深まっていく、現実世界で英語の成績は悪かったのだがあれは、目的もなくただ覚えさせられていた感覚だったので習得できなかったのだろう。

1時間ほどかかりレポートを読み終える。

内容は、魔法金属の錬成についてと言うモノだった。

意思を持つ金属の錬成を目的として様々な実験が行われたようだが、複数の命令を聞く流動体の金属ゴーレム以上のモノを作り出すことは出来なかったようだ。

このレポートでいう意思の定義は、状況に合わせて自ら考え変化及び進化することの出来るモノと言うものだ。

そう言ったものが、もし暴走などしてしまうと簡単に世界が滅びそうな気がする。


「あ、ヨウさんだ」

そんな事を考えながら、次の本を物色していると後ろから声を掛けられた。

振り返るとクリフとノエルの2人だった。

誕生会で会ってからちょこちょこ孤児院に顔を出すようになりすっかり懐かれてしまった。

「今日はどんな本を読んでるの?」

「錬金術に関する本かな、もう朝の仕事は終わったの?」

「うん、そう言えば今日食べ物持ってきてくれたっていんちょーが言ってた。」

「「ありがと」」

「まぁ気にすんな、ココの利用料みたいなもんだから」

「それで、ヨウさんは錬金術が出来るの?」

「ああ、金属関係をメインでやってるけどな」

「そうなんだ、それじゃあダメかな」

「どういうことだ?」

「あのね、病気の子がいるんだけどその子の薬が作れないかなと思ったんだ」

「どんな病気なの?」

「えーっとね、確かいんちょーがトレント症って言ってた」

そのあと、院長先生が来たので詳しく症状を聞いてみたところ花粉症だった。

何でも、発症するのは魔力の高い人間に多いようでトレントから出る魔力を含む花粉と体の魔力が反応して花粉症の様な症状が出るそうなのだが、幼いころに発症してしまうと魔力が暴走して最悪死に至るんだとか。

孤児院で症状が出ている子はかなり重いらしく、もしかしたら今年の冬を越すことが出来ないかもしれないそうだ。

花粉の一番の原因となるのが、聖樹と呼ばれる巨大トレントではあるのだがトレント症を補って余りあるほどの恩恵を町にもたらすのでどうすることも出来ないのだ。

別の町に移り住めば、ある程度改善するのだが孤児院の子どもにそんなことが出来る者は居ないため薬でどうにかすることになるのだが、その薬も値が張るそうだ。

薬の素材は高く、イデアでもめったに見かけないそうだ。

一通りの説明を受けたところで頭の中で効果音が鳴った。

目の前のウインドウには、

_____________________________________

クエスト:孤児院の子どもを救え!が発生しました。

このクエストを受けますか?Y/N

_____________________________________

YESと答えてウインドウを閉じる。

「それじゃ早速その子に会わせてもらってもいいですか?」

案内されたのは、保健室だった。

保健室のベッドには、6歳くらいの女の子がマスクをして眠っていた。

名前は、ベルと言い去年から症状が出始めて季節を迎えるごとに酷くなっているそうだ。

薬は買えない額ではないので買ってきてもいいのだが、多分完治する様なものではないのだろう。

ここは、完治させる新しい薬を作り出す方向で考えてみよう。


図書室に戻りトレント症に関するレポートや本が無いか探すことにした。

20分後、イデア語で書かれた本棚の一角にそれらしい研究結果のレポートを発見したが、言い回しが難しく今一理解できない。

唯一分かったのが、今出回っている薬の材料と魔力量を抑えることが出来れば、一時的に症状を抑えることが出来ると書いてあったので手持ちの【魔力減退ポーション】を渡してみるとしよう。

【魔力減退ポーション】は錬金術スキルで作った対象に飲ませるもしくは振りかけることで魔力を一段階低下させることが出来るデパブ系のポーションだ。


そして薬をそのまま作るには、≪薬剤≫のスキルが必要なため錬金術風にアレンジする必要が有りそうだ。

取りあえず薬の素材を集めることから始めよう。

このレポートによれば、イデアの北側に洞窟が有りそこの奥に生える【マナクイゴケ】と言うものが必要らしい。

【マナクイゴケ】はその名の通り周辺の魔力を吸収して育つコケだそうだ。

その特性を生かした薬を飲むことで幼少期にトレント症にかかった子供の魔力を暴走させずに体外へと放出させることが可能なのだが、やはり完治する様なものではなく大人にはあまり効かず現実の花粉症のようにその季節を迎えると軽い症状が出るそうだ。


ベルにポーションを1本飲ませて症状が落ち着くことを確認して、苦しくなったら飲む様にと10本ほど渡した後はイデアの北門から外へ出て洞窟を目指す。


1時間ほどフィールドを彷徨ってようやく洞窟を見付けることが出来た。

レポートに書いてあった場所は、如何やら地形が変わってしまっていたらしく横穴タイプではなく丘の上に縦穴が開いていたのでいくら探しても見つけられなかったのだ。

縦穴のソコは見えない上にハシゴなどは設置されていない。

仕方なく近くに生えていた丈夫そうな樹にロープを縛り付けて縦穴に垂らしてみる。

しっかりとロープがほどけないことを確認した後、洞窟の中に入っていく。


どれくらい降りたかは分からないが入り口がかなり小さく見える。

途中ロープが足りなくなり継ぎ足すことで何とか地面に足を付けることに成功した。

ソコは、大きめのホール状のフロアで地面や壁が薄らと光っていた。

近づいて見るとコケが光っているようで、それを手に取ってみると【マナクイゴケ(劣)】と言うモノだった。

どうやら、周囲のマナを吸収することで発光しているようで試しに手のひらに≪属性付加≫で魔力を付加してみたところ光の強さが増した。

調子に乗って光らせているとアイテム名が【マナクイゴケ(闇)】と言うモノに変わってしまい光の色も紫色になってしまった。

如何やら成長過程で吸収する魔力で属性が決まる特性がある様だ。


闇属性は体に悪そうなのでもっと上質な魔力を含んだ【マナクイゴケ】を探して奥へと進む。

ここのモンスターはマナイーターと言う名前が付くゴブリン、オーク、スライムがメインで攻撃を喰らうとMPまで減ってしまうちょっとめんどくさい奴らだった。

分かれ道のたびに壁に印を刻んで進んでいると今までより強い光を放つフロアが見えてきた。

思わず駆け出してフロアに到着すると大きな生物がこちらを見た。


ソレは20mを超えるであろう体に硬い鱗を持ち爬虫類特有の目を持った最強の生き物、ドラゴンだ。

このゲームでドラゴンタイプを見たのはコレが二回目で、一回目は領地周辺の火山フィールドの主だった。

あの時は、手も足も出ずに返り討ちにあったのは今でも苦い思い出だ。

今回のドラゴンは、プレシオサウルスの様な首長竜で背中が【マナクイゴケ】に被われていて淡い光を放ちそれを守るように刃物のような鋭い鱗が生えていた。

鎌首をもたげてこちらの出方を伺うマナイーター・ドラゴンに取りあえず交渉をしてみることから始める。

敵意が無いことを示すため刀を鞘に納めて話しかける。

「すいませ~ん、背中のコケって分けて貰う訳にはいかないですかね?」

「グルゥゥゥゥゥゥ」

重低音の唸り声が洞窟内にこだまする。

「危害を加えるつもりないんで少し分けて貰えないかな?」

「ギャオォォォォォォォォォォォ!!」

完全に臨戦態勢に入ったマナイーター・ドラゴンが一際大きな咆哮を上げてこちらにブレスを吐きかけてきた。

氷の礫の混じったブレスを何とか避けるために飛びのくと今まで立っていた地面は凍り付き数十もの氷の杭が突き立っていた。

コレはかなりやばそうな相手だ。

刀を鞘に納めたまま相手に向けて走り出す。

極限まで高めた集中力で右前の足ヒレに目掛けて【一閃】を放つ。

ガギィィィィン!!

金属同士がぶつかるような音が洞窟内に響き渡る。

見ると、右ヒレは金属の様な刃を持っていて刀を受け止めていた。

攻撃を仕掛けた刀の耐久値は半分以下に減り刃も大きくかけてしまっていた。

「【ダークエンチャント】」

刀を闇属性でさらに強化してヒレ以外の部分を切り付けるがどこも同じように弾かれてしまい効果を見込めなかった。

仕方なく刀をしまいドリルハンマーを呼び出す。

ドリルを起動して思いっきり叩きつけるが、同じく刃が先には進まない。

マナイーター・ドラゴンは、ヒレを振り斬撃に水を纏わせて遠距離攻撃を加えてきたり尻尾を横薙ぎに振り回すなどの攻撃を繰り出してきた。

はっきり言って今のレベルではお手上げ状態です。

思考を討伐から【マナクイゴケ】の採取に切り替え可能な限り攻撃を避けて背中に取り付こうとしたのだが、背中周りに生えた鱗が邪魔をする。

取り付いた手に鋭利な鱗が牙を剥きズタズタに切り裂きHPをガリガリと削られながらも何とか背中にとりついたが別にそこは安全地帯ではない。

振り向いた頭から打ちだされる小範囲のブレスが襲い掛かってくるが何とか躱して一掴み【マナクイゴケ】を手に入れることに成功した。

イベントリにしまい込むと背中から飛び降りて入り口目掛けて猛ダッシュでマナイーター・ドラゴンから逃げ出した。

ブレスの追撃をかわして脱出に成功した。

マナイーター・ドラゴンは体が大きく通路には入ってこられないようなので一安心だ。

それでも角を曲がるまではヤバかった。

入り口から頭を出してブレスを吐きかけてきたのだ。

物陰に隠れながら何とか通路を曲がるまでは生きた心地がしなかった。


早速イベントリを覗き先程的入れた【マナクイゴケ】を確認する。

_____________________________________

マナクイゴケ(竜種)

マナイーター・ドラゴンの背中に生えるマナクイゴケ。

ドラゴンの魔力を受けて育ったため不老長寿の素材の一つと言われている。

_____________________________________

なんか凄そうだ。

他の通路の先も見て回り【マナクイゴケ】と【マナクイゴケ(優)】と言うモノも手に入れることが出来た。

レポートに書いてあった通り奥に行くほど品質の高いコケが生えていた。

他にも採掘ポイントが有ったので掘って見た所、【魔吸石】と言うものが手に入った。

何処までも統一されたコンセプトの洞窟でした。


ドラゴンとの一戦で疲れたので今日の所は町に戻ってログアウトすることにした。

_____________________________________

ヨウ

ライフスタイル コスト7

 ≪魔王18≫

装備スキル 3/3

 ≪孤軍奮闘66≫≪武運27≫≪空間把握25≫

控えスキル

 ≪刻印魔法30≫≪上級採掘6≫≪上級鍛冶8≫≪上級革加工5≫≪福運52≫≪上級錬金術11≫≪属性付加61≫

言語スキル

 ≪イデア語≫

商業ランク D

称号

 【グラッジ草原の覇者】

 【ヘイゼン沼地の覇者】

お読みいただきありがとうございました。

誤字脱字感想などありましたらよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
YouTubeにて主題歌配信中「魔王様はじめました」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ